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日陸、新中期経営計画でグローバル化加速

2021.12.28

日陸(本社・東京都千代田区、戸木眞吾社長)は新中期経営計画「NRS 2024」(2021年10月~24年9月)で、①人材育成の強化②DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進③グループの一体化④グローバル化のさらなる加速――に重点的に取り組む。来年10月をメドにグループのCI(コーポレートアイデンティティー)を統一化し、社名変更を予定。「半導体」「ガス」「電池」にかかわる化学品物流分野を深耕し、半導体産業の集積が進む米アリゾナ州への進出を計画している。

「One NRS」で一気通貫のサービス

日陸は昨年策定した2030年の長期ビジョンにおいて、「化学品の総合物流企業として世界のリーディングカンパニーになる」を30年のあるべき姿として描いた。30年の経常利益を国内で2・2倍(20年9月期比)、海外で5・2倍(同)にし、経常利益率を10・8%から12%以上に引き上げる、高い目標を掲げている。

10月にスタートした新中計では、「NRS 2024」をキャッチフレーズに、「One NRSによる一気通貫のサービス」「自己研鑽による社員の“ダイヤモンド化”」を2大テーマに設定。グループの規模感や機能について社内外で認知度を向上させ、最終年度の24年9月期にはグループ全体で経常利益を20年9月期比で1・5倍に高める計画だ。

主要施策では人材育成を最優先課題と位置づけ、今期は前期比2・2倍規模の投資を行う。人間力、マネジメント能力を向上させるため、専任の顧問を配置し、単なるマネージャーではなく「グローバルに通じるリーダー」を育成。「物心両面での社員の幸せ」の実現を目指し、経常利益の3割を社員の賞与に還元する。

「危険物物流業プラットフォーム」を提供

DXについては20年のコロナ禍が始まる前に立ち上げた専門のプロジェクト(Above Beyond Project)が順調に進んでおり、第1フェーズが今年10月からスタート。

「危険物物流業プラットフォーム」として通い容器管理・動態管理(X-Track)、倉庫空き情報&マッチング(AnyWareHouse)、デジタルフォワーダーといった各種ソリューションや各種プラットフォームの提供を通じ、生産性の向上とネットワーク化、“エコシステム”の構築を図る。

また、多様なKPIを迅速に提供できる体制により、顧客からの満足度向上を目指すとともに社内の生産性向上を目指す。

グローバル化では、ベトナムの化学品専用倉庫が1月から本格稼働。米アリゾナ州に進出し、危険物倉庫やISOコンテナ、容器事業、フォワーディングなどの提供を目指す。台湾は支店を現地法人化し、危険物倉庫の建設も検討。欧州ではすでに知名度を持つグループのインターフローによる国際輸送に加え、日陸の各種サービスの展開を探る。

国内の事業基盤強化では、土気流通センターや中部物流センターで敷地内の増設を検討するほか、タンクターミナル事業ではNRSケミカルセンター名古屋ケミポートでタンク3基を建設。運送事業の車両倍増計画も着実に進めていく。コンテナ事業では、日陸の強みであるISOタンクから小型容器でのライニングタンクやガスタンクなど特殊タンクをより強化していく。

また、荷主のESG(環境・社会・企業統治)経営に貢献するため、環境面においてはSDGs推進室とエンジニアリング部が連携し、日陸が請け負った業務により発生するCO2排出量データを荷主に提供していくとともに日陸創業100周年の2046年にCO2排出ゼロを目指しカーボンニュートラルへの取り組みを強化していく。

グループとしてSDGsの取り組みを推進し、22年9月期末には情報開示として「SDGsレポート」を公開する。
(2021年12月28日号)


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