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JR貨物、通運向けブロックトレイン新設

2021.12.23

JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)は17日、来年3月12日に実施するダイヤ改正の概要を発表し、関東~関西間で通運事業者向けのブロックトレイン(専用列車)を新設すると発表した。越谷貨物ターミナル駅と百済貨物ターミナル駅間を運転する既存列車をブロックトレイン化するとともに、同列車を吹田貨物ターミナル駅から神戸、姫路まで継送することで、越谷タ~神戸タ・姫路貨物駅間に直行輸送ルートを新設。「2024年問題」で顕在化する北関東~西関西間でのモーダルシフト需要に対応する。

600㎞帯でのシフト需要を取り込み

来年3月のダイヤ改正で設定する通運向けブロックトレインは、26両編成のうち20両程度を往復で専用化し、残り6両程度は一般向けとする。専用化する20両の枠は、日本通運と全国通運系事業者がそれぞれ半分程度を利用していく。

24年4月からトラックドライバーの労働時間規制が強化され、とりわけ600㎞前後の輸送距離帯で「ワンオペ運転」が難しくなることから、モーダルシフトが進むとの観測がある。JR貨物ではこうした流れに先行する形で、越谷タ~神戸タ・姫路貨物駅間でブロックトレインを設定することで、圏央道周辺での旺盛な輸送需要を取り込むとともに、首都圏郊外・北関東~西関西・兵庫エリアのシフト需要に応える。リードタイムも、従来の東京貨物ターミナル駅を経由するルートに比べ、越谷タ→神戸タ間で3時間38分短縮の13時間42分、越谷タ→姫路貨物間で8時間18分短縮の16時間24時間となる。

通運向けの輸送枠を優先確保へ

JR貨物にとって、これが12本目のブロックトレインとなるが、ここ数年は大手特積みトラック事業者向けのブロックトレインの設定が中心だった。通運事業者向けとしては06年3月に運転開始したスーパーグリーンシャトル列車(みどり号)以来、2本目となる。

今回、通運向けブロックトレインを新設した狙いについて、17日に会見した吉澤淳・取締役兼執行役員ロジスティクス本部長は「各地の利用運送事業者は当社にとっての古くからのお客様であり、各社とのリレーションが鉄道貨物輸送事業のひとつのベースになっている」とした上で「特積み向けブロックトレインの新設が続いたことで、前後の列車などが犠牲になっていた部分もあった。今回は利用運送事業者のご要望にしっかり応えていくことを優先した」と述べた。なお、JR貨物社内では通運向けブロックトレインを今後、「フォワーダーズ・ブロックトレイン」と呼称していくことを検討している。

ダイヤ改正で数億円規模の増収効果

今回のダイヤ改正ではこのほか、東京タ~神戸タ間で運転していたコンテナ列車を大阪タ発着に変更し、要望が強かった東京タ~大阪タ間の輸送力を増強。具体的には同区間の直行輸送力を従来の45個(12ft換算)から70個に増やした。また、今年10月に全国31番目のE&S(着発線荷役)駅となった南福井駅の停車列車および輸送力を増やすほか、引き合いの強い広島タでの31ftなど大型コンテナの輸送力も増強する。

さらに、盛岡タ→安治川口向けの福山通運向けブロックトレイン、陸前山王→吹田タ向けの西濃運輸向けブロックトレインについては、リードタイム短縮による速達化を図る。短縮時間はそれぞれ1時間24分、31分となる。

今回のダイヤ改正による全体の輸送力は、改正前とほぼ同じ。吉澤氏は「需要が多いところに輸送力を配分することで、数億円程度の増収効果とコスト低減効果が期待できる」と述べた。
(2021年12月23日号)


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