メニュー

省エネ法荷主制度、事業者クラス分けへ

2021.10.28

資源エネルギー庁は、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)の荷主制度について見直しの方向性を固めた。エネルギー使用量の算定方法について、積載率を考慮しながら精緻化を図るとともに、優良な事業者を可視化する「事業者クラス分け制度」の導入を検討。特定荷主が自らの取り組みの評価を客観的に認識し、省エネの取り組みをさらに促進できるようにする。11~12月上旬にとりまとめ案を提示する。

特定荷主、合理化不十分なら勧告も

第4回総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会荷主判断基準ワーキンググループで見直しの方向性が示された。

省エネ法では、運輸分野の省エネルギー対策として、自らの事業活動に伴う貨物輸送量が3000万トンキロ以上の企業を特定荷主として指定。荷主が省エネの取り組みを実施するにあたって、具体的に措置すべき事項を判断基準として公表し、合理化の目標達成のために計画作成と定期報告を義務付けている。

判断基準(エネルギーの使用の合理化の基準や目標等)に照らして著しくエネルギー使用合理化の状況が不十分であると認められた場合には、その他の事情を勘案して、勧告することが可能。また、勧告を受けた特定荷主が勧告に従わなかった際にはその旨の公表や、審議会の意見を聞いて、勧告にかかる措置を執るべきことを命ずることができる。

2018年度の省エネ法改正では、ネット小売事業者も省エネ法の荷主規制の対象に追加。貨物輸送事業者との契約関係はないものの、貨物の受け取りまたは引き渡しを行う日時および場所の指示を行うことができる事業者を「準荷主」と位置づけ、「準荷主ガイドライン」を策定した。

積載率を考慮した省エネ取り組みを促進

荷主が貨物輸送事業者に行わせた貨物輸送のエネルギー使用量は、「燃料法」「燃費法」「トンキロ法」のいずれかにより算定が可能。エネルギー算定方法はトンキロ法が大宗を占め、使い勝手が良い一方で、「燃費の向上が評価できない」「見なし積載率を用いると積載率も評価できない」という課題がある。

改良トンキロ法では積載率が不明な場合に用いることができる定数(みなし積載率)を提供しているが、この値について輸送区分(積載量)別に積載率の実態を踏まえた値に適正化。25年度基準までのトラックトップランナーの燃費基準や、内航船省エネルギー格付け制度を活用した算定が行えるよう見直しを行う。

算定の負担軽減のため、エネルギー使用量の算定について算定ツールを提供。トンキロ法からのシフトを念頭に、精度が高くエネルギー使用量を算定できる燃料法・燃費法の導入のポイントをまとめ、特定荷主等に横展開する。燃料法・燃費法の導入に向けた気付きを与え、事業者の取り組みを促進する。

目標達成の優良事業者を「Sクラス」と公表

省エネ取り組み状況に応じた評価と措置も検討する。エネルギー使用量の算定方法の精緻化と併せて、「事業者クラス分け制度」を導入。目標を達成した事業者を優良な事業者(Sクラス)として公表する一方、原単位変化が連続して2年連続または5%以上悪化した事業者は、省エネが停滞した事業者(Bクラス)として注意喚起等を行う。

また、原単位の変化率だけではなく、客観的な目標水準(原単位、積載率等)をベンチマークとして設定。目指すべき省エネ水準を示す。荷主、準荷主など事業者間の連携を通じた省エネ取り組みを促すため、先進的な事例や、連携に向けた課題とその対方策の例を整理し横展開する。
(10月28日号)


関連記事一覧