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ヤマト運輸労組、第76回定期中央大会をWeb開催

2021.09.21

ヤマト運輸労働組合(森下明利委員長)は9日、「第76回定期中央大会」を開催した。新型コロナウイルス感染防止の観点から、昨年に続いて2年連続のWeb開催となった。

森下委員長(写真)は挨拶の中で、「コロナ禍でデジタル化が進み、在宅勤務や巣ごもり需要が増えたことで、宅急便の取扱個数も増加し、2020年度の通販市場売上高も初めて10兆円を突破した。こうした新たな生活様式を支えているのが、『エッセンシャルワーカー』といわれる物流だが、その重要性や存在価値に合わせて労働環境の改善や産業間格差の是正を図らなければ、将来的に選ばれない職種となり、深刻な労働力不足に陥ることが懸念される。物流が滞ったとき国民生活にどのような影響を及ぼすのかといった危機感は国民に共有されていない」ことを指摘した。

その上で、働き方改革関連法が順を追って施行されることに触れ、「割増賃金や時間外労働時間の制限などが行われていくが、法律を守り、サービスを維持するための当然の経費として社会に認識されるかが、大きなポイント。国民生活になくてはならない産業として、適正料金が産業界全体で確立され、魅力ある労働環境を実現していかなければならない」と強調した。併せて、通販などの「送料無料」表現についても「やはり納得のいくものではなく、機会があるごとに異議を唱えていきたい」との考えを改めて示した。

また、ヤマトグループの統合に伴って、この4月より、ヤマト運輸がグループ企業7社と労働組合も統合させる方向で準備を進めていることを説明し、「各企業の労働組合の組合員がヤマト運輸労働組合の各支部へと加わってくるため、不安を感じることのないよう各現場の役員の紹介や連絡窓口などの周知をお願いする。業種も異なり、違った制度やルールの中で苦労もあると思うが、お互いに勉強していくことが大切」として組合員らへ協力を呼び掛けた。

Oneヤマト体制へ組合としても対応求める

2021年秋季生活改善交渉(秋闘)では、マネージ組合員の年末一時金1人平均80万円と、キャリア・パート組合員の年末一時金の引上げ、アンカーキャストの支給方式の見直しを要求する。付帯要求としては、賃金水準を維持した上で、今期の年間総労働時間2284時間の順守と、来期の計画労働時間2260時間を求める。所定労働時間は1968時間、公休日数は1日増の119日、年休は取得率90%以上と付与日数の増加を要求する。併せて、業務役職者の働き方の改善と、台車・新スリーター集配の雨天対策として新ツールの開発を提案する。

安全対策の強化としては、運行管理者による点呼の100%実施や点呼執行の強化、安全で使いやすい車両の導入も求める。このほか、グループ統合(Oneヤマト)への対応としてシステム改修の促進、統合企業の賃金格差是正も要求していく。

なお、今期の「夏のカンパ」はヤマト運輸労働組合の合計で8539万1260円、ヤマトグループ全体では9352万3000円となり、昨年を上回ったことを報告した。カンパ金はヤマト福祉財団へ7352万3000円、「あしなが育英会」へ2000万円寄付される。
(2021年9月21日号)


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