「経常利益100億円達成きびしい」=JR貨物・真貝社長
JR貨物(本社・東京都渋谷区)の真貝康一社長は14日に本社で開かれた定例会見で、今期の事業計画について「連結経常利益100億円の達成はきびしいと言わざる得ない」との見解を示した。今年1月の計画策定時における想定よりも、新型コロナウイルス感染症の影響が長引いていることによるもの。これに伴い、事業計画を見直し、再スタートしたが、連結経常利益については「(当初計画の)半分である50億円は少なくとも確保したいとの計画にしている」ことを明らかにした。
真貝社長は、事業計画策定時の見立てを「昨年12月に、コンテナ・車扱合計の輸送実績が前年同月比マイナス5%まで回復しており、今年3月までにコロナの影響を脱し得て、21年度に入って時間を置かずに、元に戻るのではないか――との前提に立っていた」と説明。その後、1月の緊急事態宣言に続き、2~3月の感染拡大など「残念ながら予測通りにいかなかった」(同)。事業計画は3ヵ月に1度、7月・10月・1月に見直していることから、前提条件を修正して計画を改定。今月よりスタートさせたが、現時点では「自然災害の影響こそ出ているものの、実質的にはほぼ改定後の計画通り進んでいる」という。
今後の見通しについては「コロナがどういうスピードで収束するかに大きく左右される」としながらも、「ワクチン接種が来年2月には完全に完了する予定とされ、接種状況はもう少し前倒しになるとの報道もあることから、来年2、3月にはコロナ禍前の経済に戻り、それを支える物流および貨物鉄道の輸送も回復するのではないか」との予測の上で、計画を見直したことを紹介した。そうした中でも、成長への戦略投資や安全投資は計画通りに実施していきたいとの考えを改めて示した。
フェリー新航路の影響「今のところない」
また、今月就航した横須賀~新門司港を結ぶフェリー新航路の影響について、「顧客動向を見る限り、今のところ鉄道輸送への大きな影響は出ていない。荷主企業が引き続き、鉄道輸送を利用していくと判断されているのだと見ている」とコメント。一方で、横浜や関東西部エリアでは同航路を利用するといった話も出ており、「リードタイムが鉄道輸送とほぼ並ぶような輸送体系となっていることは当社としても受け止めている。今後の問題として、荷主企業の動向を把握しながら、きちんとニーズに応えていきたい」と述べ、安定輸送対策を講じながら、荷主企業の鉄道利用継続に向け努めていく考えを示した。
(2021年7月20日号)