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東京九州フェリー、横須賀~新門司航路が就航

2021.07.06

SHKグループの東京九州フェリー(本社・北九州市門司区、小笠原朗社長)は1日から、横須賀~新門司航路を就航した。新造船「はまゆう(写真)」と「それいゆ」を投入し、航海速力28・3ノットの高速性を活かして両港を21時間で結ぶ。これにより、関東~九州間の貨物輸送において3日目配送を可能とする。国内長距離フェリーの新航路就航は22年ぶりとなる。

運航スケジュールは日曜運休のデイリー便で、横須賀23時45分発~新門司翌日21時着、新門司23時55分発~横須賀翌日20時45分着。車両積載能力はトラック約154台、乗用車約30台となり、総トン数は1万5400t。運航船舶は全長222・5m、幅25mとなっている。

貨物輸送においては、農水産品や宅配、路線貨物などの利用を想定。冷蔵・冷凍品などの温度管理輸送に必要となる冷凍車の電源設備を設けるとともに、トラックドライバーが快適に過ごせるよう、専用の食堂や浴室も完備する。このほか、船内には3層吹き抜けのエントランスとシースルーエレベーターを設け、レストランやバーベキューコーナー、露天風呂、シアターなども備える。

環境性能は、新型最適船型の採用などで在来船と比べて約6%の省エネルギーを実現するとともに、SOX排出規制への対応策として主機関4台と発電機関3台に排ガス浄化装置(スクラバー)を搭載する。

「海の高速道路」として物流の課題解決に貢献

6月30日には横須賀港で就航記念式典が開かれ、SHKグループの新日本海フェリー社長で東京九州フェリー会長の入谷泰生氏は「陸送から海上輸送へのモーダルシフトによってCO2削減や労働不足問題など様々な問題の解決が期待される上、陸上では渋滞や交通事故などの心配があるが、船便はそういった不安もない。『海の高速道路』という新しい運輸手段として利用してもらいたい」と挨拶した。

来賓として出席した小泉進次郎環境相は「(衆院神奈川11区で)当選してから国道357号線の延伸などに尽力してきたが、今回『海の高速道路』が就航し、北九州との新たなつながりにも期待したい」と祝辞を述べ、大坪新一郎海事局長も「リプレースがほとんどの昨今において、新造船となる就航船は環境性能を兼ね備えるとともに、航行時間を既存航路よりも17時間短縮する内航フェリーの新しい時代を切り開く船」と紹介した。

中締めに登壇した東京九州フェリーの小笠原社長は「本航路はSHKライングループとしての新たなビジネスへのチャレンジでもある。物流・人流における高速海上インフラとしてグループをあげて作り上げる使命感を自覚し、毎日のようにサービスをブラッシュアップしながら期待に応えていきたい」と抱負を述べた。
(2021年7月6日号)


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