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【ズームアップ】ネットスーパー、物流投資が加速

2021.07.01

小売り各社がネットスーパー事業を拡大している。新型コロナウイルス感染症の影響で食品などの巣ごもり消費が定着する中、「リアル」と「ネット」が融合したビジネスモデルへの転換が加速。富士経済がこのほど発表した調査によるとネットスーパーの市場規模は、2020年に約3000億円、21年は3297億円に伸長すると予測され、収益向上に向けた物流への戦略的投資も注目される。

次世代型ネットスーパーを23年に開始、専用拠点も

23年の次世代型ネットスーパーの開業に向けて準備を進めているイオン。英国のネットスーパー企業Ocado(オカド)と戦略的パートナーシップを提携し、19年12月にイオンネクスト準備を設立した。今年4月には同社が次世代型ネットスーパーの中心的施設となるイオン初の顧客フルフィルメントセンター「誉田CFC(写真)」(千葉市緑区)の建設に着手した。

最新のAIとロボットを駆使した最先端の大型自動倉庫で、精緻な宅配システムと組み合わせて新鮮な食料品や日用品を千葉県と東京都の一部エリアを対象に、タイムリーに利用者に配送する。
また、徹底した温度管理コールドチェーンを採用し、取扱品目は最大5万品目。ピッキングロボットを1000台以上配備し、約6分で50商品のピッキングを可能にする計画だ。

横浜と大阪茨木にネットスーパー専用物流施設

西友は楽天グループとの連携を強化し、ネットスーパー事業の拡大を図る。両社が共同運営する「楽天西友ネットスーパー」の21年1月~3月の流通総額は、前年同期と比べて約3割増加した。EC需要の拡大に伴い、今年1月に横浜市都筑区に最大3万~4万品目の取り扱いを可能とするネットスーパー事業の専用物流センターを稼働。自動化設備を導入したことで、通常のオペレーションと比較して約6割の省人化を実現した。年内には関西地域での出荷能力の拡大を目指し、大阪府茨木市で物流センターを計画しており、年内の稼働を予定している。

首都圏で物流拠点の開設を計画

セブン&アイ・ホールディングスは成長戦略の柱として、ラストワンマイルへの対応を着実に進めている。グループ各社ではこれまで、イトーヨーカドーのネットスーパーやセブンあんしんお届け便、セブンらくらくお届け便、セブンミールの配食サービスなど多様なサービスを展開。首都圏ではネットスーパー専用拠点(東京都荒川区)を設置するなどより柔軟な対応に向けた体制づくりを推進している。また、イトーヨーカドーのネットスーパー向けに千葉県と神奈川県の2ヵ所に物流拠点の開設を計画し、25年までの稼働を目指している。客がスマートフォンで注文すると、物流拠点でロボットが自動で商品を選んで自動梱包する。配送に当たっては、AIを活用した最適な配送ルート選定も検討している。

配送エリアを着実に拡大

ライフコーポレーションはこのほど、30年にEC事業の売上高1000億円を目指し、新会社「ライフホームデリバリー」の事業を開始した。総合物流企業である間口グループの2社と共同でライフネットスーパーと来店宅配サービスの配送業務や梱包作業支援を担い、質の高い接客と安定した配送を実現する。

ライフは11年にネットスーパー事業を開始し、20年にはEC事業全体の売上高が50億円を突破した。なお、Amazonとの協業では、「アマゾンプライム会員」向けに生鮮食品や惣菜を配達。サービス開始から着実に対象エリアを拡大し、現在は1都3県に加え、大阪府と京都府、兵庫県の会員が一部地域を除き利用できるなど順調に拡大している。
(2021年7月1日号)


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