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【物流不動産】不動産大手が賃貸用物流施設マーケットに参入、東急不動産も

2017.03.28

賃貸用物流施設マーケットに不動産大手の参入が活発だ。東急不動産(本社・東京都港区、植村仁社長)は22日、「(仮称)春日部物流センター」(埼玉県春日部市、完成イメージ)、「(仮称)桑名プロジェクト」(三重県桑名市)の2つのプロジェクトに共同開発のスキームで着手し、物流施設開発事業に参入したことを発表。賃貸用物流施設では“後発”だった三井不動産、三菱地所も有力地での開発で存在感と勢いを増しており、東急不動産の今後の動向も注目される。

「(仮称)春日部物流センター」は三菱UFJリース、ケネディクスと共同出資する特定目的会社が事業主体となり、ケネディクスがアセットマネジメント業務を行い、フジタの設計・施工で開発。マルチテナント型物流施設で1階に両面トラックバースを設置する。

主要環状道路である国道16号と4号の交差点から約600mの場所で、東北自動車道「岩槻IC」や常磐自動車道「柏IC」にアクセスしやすい。同交差点は現在計画中の東埼玉道路「庄和IC」の建設予定地にもなっており、今後更なる利便性拡大が期待される。

「(仮称)桑名プロジェクト」は大和ハウス工業、アール・アイ・シー・マネジメント(RICM)と共同出資する特定目的会社が事業主体。RICMがアセットマネジメント業務を行い、約7万平方mの敷地にマルチテナント型物流施設を建設。
東名阪自動車道「桑名IC」「桑名東IC」から車で約10分。現在整備中の東海環状自動車道や新名神高速道路の開通により、交通利便性がさらに高まり、東日本と西日本の新たな結節点となる。
賃貸用物流施設マーケットは2000年代初期からプロロジスなどの外資系が先行したが、2011年に三菱地所、13年に三井不動産が参入。オリックスや野村不動産もリーマンショック前の比較的早い時期から開発を続けている。なお、リーマンショック前に参入した住居系デベロッパーの一部は経営破たんや撤退もみられた。

「建設系」では、BTS(ビルド・ツー・スーツ)型を中心に長年、物流分野で実績のある大和ハウス工業に続き、清水建設、戸田建設(野村不動産との共同開発)も物流施設分野に進出し、最近では、日本生命保険、第一生命保険といった「生保系」、京阪電気鉄道、阪神電気鉄道といった「電鉄系」も物流施設を手掛ける。

不動産大手などの新規参入にあたっては、既存の物流施設の「取得」や物流施設マーケットで先行するデベロッパーとの「共同開発」からスタートし、ノウハウが蓄積された段階で単独開発に踏み切るケースが多い。
東急不動産では、「Eコマースの拡大に伴い、先進的な物流施設のニーズは今後も拡大が継続するとみられ、総合デベロッパーとして培ったノウハウを生かして、インフラ・インダストリー分野における事業展開を積極的に進める」としている。

(2017年3月28日号)


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