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【トラック輸送】アスクル代替出荷拠点がパンク? 商品下ろしに8時間待ち

2017.03.28

火災により在庫品と施設の大半が焼失したアスクル(本社・東京都江東区、岩田彰一郎社長)の物流センター「アスクルロジパーク首都圏」(埼玉県三芳町)の代替出荷拠点が、パンク状態だという。同センターが約6割の物量シェアを持っていた個人向けネット通販の「ロハコ」は、昨年5月から稼働した「アスクルロジパーク横浜」(横浜市鶴見区)からの出荷に切り替えたが、キャパシティを超えた入出荷により、納品に来たトラックが「商品を下ろしたくても下ろせない」状態が続いていたという。下ろすのに7、8時間かかったり、当日中に下ろせないケースも発生するといった大混乱は収まりつつあるが、現在も長時間待機が続き、トラックドライバーからは「アスクルの倉庫に行きたくない!」という声も出始めている。

2月16日9時頃、「アスクルロジパーク首都圏」で発生した火災は、発生から12日が経過した28日の午後5時に鎮火した。同センターは2013年7月に稼働した、延床面積約7万平方mの物流センターで、法人向けオフィス用品通販の「アスクル」と、個人向けネット通販「ロハコ」の東日本エリアの物流を担っており、とくに「ロハコ」に関しては物量の約6割のシェアを占めていた。

3月9日の記者会見によると、今回の火災で「アスクルロジパーク首都圏」の6割が焼失したため、埼玉、東京エリアに3月末頃代替センターをまず立ち上げ、9月末頃にも代替センターを構築する予定。ただ、「ロハコ」の出荷を早急にカバーするためには「アスクルロジパーク横浜」の在庫拡充が不可避。同センターに納入する荷主は「非常に待たされるのでドライバーが皆嫌がっている」と打ち明ける。

「アスクルロジパーク横浜」は延床面積が約5万平方mで、近年の同社の業容拡大に伴い増え続ける出荷量に対応するためにオープン。「アスクルロジパーク首都圏」と同様、「アスクル」と「ロハコ」の両方の物流を担う拠点として、既存のセンターに比べ面積、出荷能力ともに2倍を実現。ピッキングロボットなど自動化・省人化設備を導入するなど“最先端の物流センター”として設計されたが、急激な出荷増には対応できなかったようだ。

アスクルでは2月16日の火災発生当日、東日本エリアの注文受付を一時停止したが、一部商品については他の物流センターから出荷する体制を整え、当日18時には注文受付を再開。同社の物流の「強さ」と「柔軟性」をイメージづけた。一方では、ムリしてでも注文を止めないことで物流にしわ寄せがきていることも事実で、「物流のキャパシティを考えない」売り方への問題提起にもなりそうだ。

(2017年3月28日号)


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