大雪時のトラック滞留対策を強化=国交省
国土交通省は大雪時のトラックの滞留対策を強化する。日本海側の大雪によりトラックなど大型車両の立ち往生が発生した事態を受け、滞留の原因となった車両が冬タイヤ未装着であるような悪質な事例については監査を実施し、安全管理義務違反として、当該事業者の行政処分を行う。同時にトラックを運行させる荷主も巻き込んだ対策についても、関係省庁と協議していく構えだ。
事前に「緊急発表」も1600台が立ち往生
7日から11日にかけて強い冬型の気圧配置により、北日本から西日本の広域にわたり日本海側を中心に大雪となり、とくに新潟、富山、福井県などでは1月の48時間降雪量が観測史上1位を更新するなど記録的な大雪となった。
国交省では、12月の関越自動車道等での長時間にわたる立ち往生を踏まえ、幅広い事前の呼び掛けや集中除雪のための躊躇ない予防的通行止めなどを行い、その一環として今回の大雪に備え、6日に「大雪に対する緊急発表」を発信した。
具体的には、不要不急の外出を控えることや、冬タイヤやチェーンを確実に装着することなど、大雪に対する警戒を道路利用者等に呼び掛けるとともに、バスやトラックなどの事業者に対しても、地方運輸局等を通じ、その徹底を図ってきた。
しかし、記録的な大雪により道路の通行止めや鉄道の運転見合わせ、航空便の欠航などの幅広い交通機関に影響が発生。特に、福井県内の北陸自動車道では約1600台の立ち往生車両が発生し、並行する国道8号で10㎞を超える大渋滞が発生した。
警告や業務停止10日車などの行政処分実施
このため対策を強化することとし、11日にその概要を公表。具体的には、立ち往生の原因となったトラック事業者に対して調査を行い、悪質な事例だと判明した場合は監査を実施する。監査の結果によっては貨物自動車運送事業法に基づき、警告や業務停止10日車など法令に基づく行政処分を行う。
なお、同省では昨年2月、台風等の異常気象時下にトラックによる貨物運送を行う場合に輸送の安全を確保するための目安を通達。改正貨物自動車運送事業法でも事業者の安全運行に関し荷主の配慮義務の条項を設けており、大雪も含めた悪天候時の安全な輸送については荷主にも一定の責任がある。
赤羽一嘉国交大臣は12日の記者会見で、北陸自動車道での大規模な立ち往生に言及し「大型トラックが滞留の原因になったことが確認されているが、トラック事業者に対する指導にとどまらず、大雪時における物流のあり方については荷主をも巻き込んで(荷主を所管する)関係省庁とも相談しながら、しっかり協議していく」と強調した。
(2021年1月19日号)