ラニイ福井貨物、本社・ターミナルを1月に移転新設
ラニイ福井貨物(本社・福井県福井市、藤尾秀樹社長)は本社と併設する路線便ターミナル施設を移転・新設し、来年1月から稼働する。新施設(完成予想図)には本社、路線便ターミナルとあわせて危険物、保税、保冷に対応した保管倉庫も備えることで、荷主企業への複合的な物流サービスをワンストップで提供する。
新拠点は北陸自動車道・福井ICから100mほどに位置する3万8123㎡の敷地に、4棟の施設を建設する。このうち、2階建ての本社事務所棟(施設面積1397㎡)には路線便の荷捌き場(4341㎡)、一般品を扱う「第1倉庫」(2182㎡)を併設。また、別の棟では4℃以下で管理する冷蔵倉庫(2993㎡)と15~18℃管理の定温倉庫(163㎡)による「第2倉庫」と、保税倉庫として国際貨物を扱う「第3倉庫」を運用する。併せて、危険品倉庫の「第4倉庫」(441㎡)と、整備工場棟も開設する。
総延床面積は1万2573㎡となり、現在の本社ターミナルから2・4倍に拡大し、トラックは180台を配備する。なお、現本社ターミナルは売却の予定。
藤尾社長は「倉庫に路線便のターミナルが併設する意味は大きい」と新施設のコンセプトを説明する。倉庫からターミナルへの横持ちが不要となることで、荷主企業の輸送コスト削減とリードタイム短縮、利便性の向上につながる。実際に、提案先企業からの評価も高く、既に倉庫はほぼ満床状態。福井県内に製造工場を持つメーカーなどの利用が決まっているという。保冷倉庫についても、乳業メーカーの北陸地域向け配送拠点として活用される見込みにある。
こうした倉庫併設型のターミナルは同社として初めての試みだが、今後も、本拠地であり注力エリアに位置付ける福井県内において、同様のコンセプトによる営業所の改築や新設などを検討していく考え。さらに、今回の新施設敷地内には増設余地もあり、常温自動倉庫の新設を視野に入れた「第2期工事」も、来期以降、計画を策定していく。藤尾氏は「南海トラフ地震をはじめとする災害リスクに対し、物流施設は太平洋側に集中しており、BCP対策として北陸地域へ在庫を移す動きも出ている」として、さらなる事業成長への意欲を示す。
大阪ではトールとの共同配送を開始
他方で、同社では9月下旬から、東大阪支店(大阪府八尾市)をトールエクスプレスジャパン(TXJ)の東大阪支店(同)内に移し、八尾市や東大阪市、門真市などの東大阪エリアの配送を両社で共同化した。従来の東大阪支店施設は売却。TXJとは北陸向けの連絡運輸などで連携しており、今回、支店同士が近かったこともあって統合と共同化が実現した。藤尾氏は「選択と集中の中で共同化を判断したもの」と説明。ラニイ福井貨物として路線便の共同化は初めてだが、今後も、福井県や石川県といった注力エリア以外の営業所でも「同様のやり方は考えられる」という。
(2020年11月12日号)