【レポート】わが社の“イチ押し”改善事例=シーエックスカーゴ
日本生活協同組合連合会の物流子会社であるシーエックスカーゴ(本社・埼玉県桶川市、山田英孝社長)では、年1回、チームや班ごとに取り組む改善活動の成果を競う「カーゴカップ」を開催している。毎年、「成果発表大会」も実施してきたが、14回目の今年は新型コロナの影響から、発表の撮影動画を見ての審査となり、最優秀賞には、小牧営業所業務課ドライDCG店舗班が輝いた。
同班は25人(当時)体制で、東海3県(愛知・岐阜・三重)の生協店舗27店舗(同)向けの仕分け業務を担当している。所在する小牧営業所は2017年8月に春日井営業所と統合したことから庫内が狭隘化しており、限られたスペースの有効活用と作業者の安全確保、作業生産性の向上に向けて改善活動を続けてきた。取り組みは18年度から継続しており、様々な施策に「まずはやってみよう」と積極的に取り掛かり、試行錯誤を続けたことが成果につながった。
具体的な改善施策は大きく3つのテーマに分かれる。ひとつ目の「作業エリア縮小への対応」では、仕分けエリアに、庫内の別業務で使用する固定ラックとパレットステージが設置されたことを受けて、仕分け作業用のカゴ車レイアウトを変更(写真)。従来の「直線での動線」にこだわらず、様々なパターンを試しながら、これらの資材を避けた最適なレイアウトを見つけ出した。
また、出庫作業を担当する「出庫班」でも作業スペースが不足していることを知り、物量の少ない土曜日の出荷待機エリアでカゴ車の置き場所を詰めるなどし、40坪ほどの新たなスペースを創出。出庫班へ提供することができた。
作業生産性が45%向上、検品完了時間も48分短縮
2つ目のテーマである「生産性向上」では、ボイスシステム(音声指示)による、ばら撒き式の仕分け作業をレギュラー品のみならずセール品にも採用。セール品は少品種多量を想定して紙の集品票を用いた摘み取り式でピックしていたが、アイテム数やピース品・ボール品が多い場合にはボイスシステムを使用することで、生産性が45%向上した。セール品のボイスシステム用データは都度、システム担当者に作成を依頼しているが、ケース品の作業者が続けてセール品の仕分けを行うため、端末の追加購入なく、ボイスシステムに慣れた作業者がそのまま作業することができた。
併せて、ケース品の作業フローも改善した。ケース品は2レーンで、各3~4人が仕分け作業に当たる。レーン1では食品を、レーン2では飲料の作業後に菓子の仕分けを行うが、出庫班の集品が飲料、食品、菓子の順に完了することから、レーン2では飲料の仕分け後、菓子が集品されるまで手待ちが発生し、レーン1の仕分け作業を応援していた。しかし、レーン1からの「人が多くなりすぎて、逆に作業がしにくい」との声を受け、応援の代わりに、飲料の検品作業を行うように変更。最終工程であった仕分け後検品のうち、飲料の分が前倒しで終わることで、検品完了時間を48分短縮できた。
3つ目のテーマ「作業環境の改善」では、店舗から返送されたオリコンやカゴ車を種類別に揃える際、すぐに種類が判別できるよう資材に色テープを貼付した。昨年、障がい者雇用の作業者が店舗班に配属されたことを機に、こうした「誰でも分かりやすい」作業への見直しに着手した。そのほかの工程についても、障がい者や、初めて現場に来た人にがすぐに作業ができるよう各工程を確認していきたいという。
一連の取り組みで評価されたのは、安全を確保し、スペース効率と作業生産性の両立という高い目標に向けて、チーム一丸となって試行錯誤を重ね、達成できた点。さらに、他事業所への参考にもなるとして最優秀賞に選ばれた。山田勝主任は「営業所全体のスペースがひっ迫する中、自分たちだけでなく他のチームにも気持ちよく仕事をしてもらえるよう改善に取り組んだことも評価していただいたのではないか」と話す。南美千恵班長も「18年度から2年越しで、チーム皆が協力し、続けてきた結果が受賞につながった。率直に嬉しい」と語った。
(2020年9月29日号)