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【ズームアップ】リードタイム延長、“三方良し”へ一歩=食品業界

2020.09.17

トラックドライバーの確保や負担軽減につながるとして、食品業界で取り組みが広まりつつある「リードタイムの延長」。製・配・販連携協議会ロジスティクス最適化WG加工食品小WGでは効果と課題を検証したうえで、今後の取り組みの方向性をこのほど公表した。リードタイム延長と併せ、発注締め時間の見直しや配送時間の分散化、パレタイズ納品などの「合わせ技」の取り組みを提言。サプライチェーン全体のあるべき姿を見据えた製・配・販の“三方良し”への一歩となりそうだ。

発注・納品のみならず物流業務全体の調整が必要

同協議会ロジスティクス最適化WGでは、2019年度の活動において、トラックドライバーの働き方改革に資する手段としての「納品リードタイム延長」をテーマに設定。加工食品カテゴリーに特化した小WGを設置し、リードタイム延長に関する基本的な考え方と今後の取り組みの方向性をとりまとめた。

基本的な考え方では、リードタイムの延長を「持続可能な物流の構築に向けた取り組み」として位置づけ、それがもたらす効果と課題を理解したうえで、物流業務の全体調整、効率化・省力化の施策と併せて導入しつつ、製・配・販が連携、協力し、サプライチェーン全体で検討・推進することが望ましいと確認。

効果については、発荷主(メーカー)と委託先物流事業者では夜間作業の軽減、集車・配車の効率化、物量確定の早期化による積載率の向上、着荷主(卸)では荷役作業を計画的に進められることが挙げられた。一方、卸では欠品リスクの増加、安全在庫の増加と保管スペースの確保、在庫ロスコストの増加、需要予測・発注精度向上が課題とされた。
このためリードタイムの延長に関しては、対象となる発注・納品業務のみならず、関係する物流業務についての全体調整が必要であると指摘。課題解決の負担が特定事業者に発生しないよう調整・配慮するとともに、物流業務の効率化・省力化を進めるような施策、商慣習の見直しを行う必要性を強調した。

発注締め時間の調整、配送時間の分散化も提言

小WGでは課題解決に向け、リードタイム延長と併せた具体的な施策を提言。特売・新商品についてメーカー~卸間のリードタイムを延長する場合に、卸~小売間についても同様にリードタイムの延長、確保を行い、見込み発注ではなく確定発注方式を継続できるように製・配・販で調整することが望ましいとした。

リードタイムの延長を検討・実施するにあたっては、商品の回転状況など商品特性に応じてリードタイムの長短を調整することが有効であると指摘。たとえば低回転・スロームーブ商品に関しては、卸、小売の物流センターで受注・発注を行えるようなリードタイム設定を検討すべきとした。

定番商品の発注締め時間の調整も提言した。メーカー~卸のリードタイムを延長する場合、卸での受注~在庫引き当て~発注のタイミングを考慮し、見直しを要望。具体的には、小売~卸の発注締め時間を「午前締め」から「前日夜締め」に“前倒し”し、卸~メーカー間については「午前締め」から「午後締め」に“後ろ倒し”する案を示した。

また、リードタイム延長を実現しても、配送時間が集中し、待機時間が発生したり車両回転が低下すると効果が薄くなることから、配送時間の分散化や納品時間枠の調整についても併せて検討することが望ましいとした。また、卸の物流センターの荷受け・検品の効率化に向け、パレタイズ納品やASN(事前出荷情報)、バース予約受付システムの活用を提案している。
(2020年9月17日号)


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