JR貨物/20年3月期は災害反動で増収増益、経常益倍増
JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)の2020年3月期連結業績は、西日本豪雨の影響を受けた前期(19年3月期)の反動から増収増益となり、当期純利益は前期の赤字から黒字に回復した。ただ、主力の鉄道ロジスティクス部門は、景気低迷による荷動きの低調や台風19号による輸送障害などの影響もあり、前期に引き続き2期連続の赤字となった。21年3月期の業績予想は、現時点で新型コロナウイルスによる影響を算定することが困難として、未定とした。
運賃改定効果もあり、鉄道の赤字幅は改善
20年3月期連結業績は、売上高が1989億5400万円(前期比3・8%増)、営業利益が100億7900万円(73・2%増)、経常利益が89億8700万円(98・9%増)、当期純利益が50億4900万円(前期は2億800万円の損失)。
西日本豪雨で山陽線が100日間にわたって不通となった19年3月期の反動から、利益が急回復。連結営業利益は2期ぶりに100億円台に戻ったほか、経常利益も倍増した。
セグメント別の業績では、主力の鉄道ロジスティクス事業の売上高が1778億円(6・4%増)、営業損失は12億円(前期の損失53億円から40億円の改善)。災害反動に加え、鉄道運賃改定の効果、グループ会社の利用運送収入などで増収を確保したものの、米中貿易摩擦、消費増税後の荷動き低迷、新型コロナの影響などがあって輸送量が振るわず、損失幅は改善したが、2期連続での営業赤字となった。なお、JR貨物単体での鉄道事業収入は1429億円(5・5%増)で、営業損失は25億円(前期比37億円の改善)で、単体でも2期連続で営業赤字だった。
不動産事業の売上高は224億円(10・7%減)。前期にあった分譲マンション収入などが減ったことで減収となったが、営業利益は112億円(2・2%増)となり増益を確保した。
なお、20年3月期の設備投資額は約310億円で、前期から約30億円の増加。内訳は鉄道ロジスティクス事業が263億円(うちリース31億円)で、今年2月に竣工した東京レールゲートWESTの建設コスト101億円も含まれる。不動産事業の投資額は47億円だった。
21年3月期は「未定」、事業計画の達成は困難
21年3月期の業績予想は、新型コロナの収束による輸送量の回復時期などが見通せないことから算定を見送り、「未定」とした。ただ、今年3月末に発表した2020年度の事業計画では、連結売上高2005億円、営業利益110億円、経常利益100億円、当期純利益58億円を計画しているが、達成は困難な状況となっている。
(2020年5月21日号)