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宅配需要が急拡大、ヤマト、JP2ケタ増

2020.05.19

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛などを受けて、宅配需要が急増している。ヤマト運輸の4月の宅急便取扱個数は、前年比13・2%増と2ケタの増加を記録。日本郵便(JP)のゆうパックの3月実績も16・4%増となった。いずれも通販利用の急拡大を受けたものだと見られる。今回のコロナ禍では、これまでネット通販などに馴染みの薄かった消費者層にも利用が広がったと推測されており、コロナ収束後も、通販利用の拡大に拍車がかかるとともに、「産業のEC化」が加速するとの見通しも出ている。

ネット通販比率の上昇が宅配需要を押し上げ

外出自粛による消費行動の変化は、小売り企業の販売実績にも端的に表れている。アパレル販売大手ユナイテッドアローズの4月の販売実績は、店舗販売額が前年比91・1%減とほぼ壊滅的だったのに対し、ネット通販の販売額は24・9%増。ネット通販の比率はまだ小さいものの、構成比が大きく増えている。

こうしたトレンドを受けて、宅急便、ゆうパックの取扱個数が急増。4月の宅急便の個数は1億5599万個となり、前年4月から個数ベースで1820万個の増加となった。ヤマト、JPとも顕著なのは「ネコポス」「ゆうパケット」という小型投函型の宅配が大きく拡大していること。ヤマト「ネコポス」の4月の取扱実績は前年比47・6%増とほぼ5割増となったほか、JP「ゆうパケット」の3月実績も26・7%増だった。

佐川はBtoB比率が高く、伸び率は鈍化

2社の取り扱いが急増している一方、3強の一角を占める佐川急便の実績はほぼ横ばいで推移している。同社の飛脚宅配便の3月実績は前年比1・0%増の1億1000万個だった。同社の実績が大きく伸びていない背景には、BtoBの商業小口荷物の比率が高いことがあるようだ。コロナ禍でtoC荷物が増えている一方、toB荷物は減少傾向にあるため、全体の伸び率が鈍化している。関係者によると飛脚宅配便の4月実績も「横ばい傾向が続いている」という。

大手3社の19年度実績は…

なお、3社の2019年度の宅配便取扱実績は、宅急便が18年度に続き2期連続で前年割れとなり、ゆうパックと飛脚宅配便はプラスとなった。ただ、ヤマトは宅急便のうち「ネコポス」は大幅に伸びており、今期についても個数全体の伸びを牽引していくことになりそう。JPも「ゆうパケット」の比率が個数全体の4割以上を占めており、小型需要の取り込みが増加のカギを握る。一方、佐川急便は今期の飛脚宅配便についてもほぼ前年並みの個数を見込んでおり、個数よりも単価改善に軸足を置いた戦略となっている。
(2020年5月19日号)


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