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新型コロナ、消費者不安が物流を翻弄

2020.03.10

新型コロナウイルスによる感染拡大により、商品の供給が不足するとの不安から、一部の商品の“買いだめ”が発生し、物流を翻弄している。消費者の不安を煽る誤った情報をきっかけにトイレットペーパー、ティッシュペーパーが店頭の棚から消え、これが飲料、食品にも波及。経済・消費活動の減退で荷況が悪化し、トラックの需給が緩んでいる中で、業種によっては一時的に発注が増えてトラックの手配が困難な状況になっているほか、納品先の倉庫で荷受けが混乱し、トラックの長時間待機や荷物の“持ち戻り”が発生している。一見、物流現場は繁忙の様相を呈しているが、これらは需要の先食いの側面があり、反動減への懸念も強まっている。

食品も一部商品でトラック手配が困難に

「トイレットペーパーが不足する」というデマをきっかけに、トイレットペーパーやティッシュペーパー、キッチンペーパー等を買い求める消費者がスーパーやドラッグストアに殺到。日本家庭紙工業会では、「トイレットペーパーの約98%が国内生産で供給力・在庫は十分にある」と消費者に冷静な行動を呼びかけているが、スーパーの棚には十分に商品が並んでおらず、消費者の不安心理が解消されていないようだ。

ドラッグストアのオンラインストアでは、マスク・消毒関連商品、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなど新型コロナウイルス拡大に伴い需要が見込まれる商品について注文数が大幅増加。メーカーの欠品や学校休校の影響で配送センターの人員不足が見込まれることを理由に、出荷数の大幅な減少が予想されると告知した。ECサイトも発注集中により一時休店がみられる。こうしたことが、消費者の不安心理につながっている可能性もある。

新型コロナウイルスによる感染症が全国に拡大していく中、輸出入の減少や訪日客の減少、各種イベントの自粛、外出控えなどで経済・消費活動が鈍る中、荷動きは大幅に悪化。トラックがだいぶ余ってきていることもあって、一部では運賃の値下げも始まっていた。ところが、消費者の買いだめが小売りからの大量発注を招き、スーパーなどでは一時的に通常の倍のトラックが必要な状況も起きている。

2倍の出荷量、休校で配送センターも人手不足に

食品メーカーでは、一部の商品が品薄になり、発注数量を抑制する動きもある。商品需要が急速に上昇したことから、配送車両がタイトになり、トラックの手配が困難になっている。業界関係者によると「リードタイムを『受注日翌々日配送』に延長しているメーカーは何とかトラックを手配できているが、通常の『受注日翌日配送』のリードタイムだと、かなり厳しいようだ」という。

3月に入ってから買いだめが顕在化したのが飲料水。「もともと在庫が多かったため、物流センター在庫でまかなえている」というが、メーカーによっては通常の約2倍の出荷量になっているという。ただ、飲料水以外の清涼飲料などの荷動きが鈍いため、トラックの手配には影響がないという声も聞こえてくる。また、大量発注も3月の第1週で落ち着くとの見方も強い。

トラックが9時間待ち、反動減への懸念も

爆発的需要に物流現場も混乱している。小売の物流センターでは、大量発注のため荷受け作業がパンクし、納品に来たトラックが荷物を下ろせない状況になっている。酒類など出荷が落ちている商材にも影響が飛び火しており、「日用品、加工食品などすべてのカテゴリーを扱っているセンターへの納品では9時間待ちで、いったんトラックを帰らせた」。ただ、「荷量が落ちていたので、翌日も車はある」とし、“再配達”が行われていたようだ。

帝国データバンクによると2月の「運輸・倉庫」の景気DIは34・0で前期比5・5pt減だった。新型コロナウイルスの影響で荷動きが悪化しており、3ヵ月で11・1pt減、1年前と比べて14・3pt減と大幅に悪化している。新型コロナウイルスの「運輸・郵便」への負の経済波及効果は約434億円にのぼると試算され、一時的な特需に対しても物流関係者は「忙しいというほどではない」「必ず反動減がある」と厳しい見方だ。
(2020年3月10日号)


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