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キリンGロジが全国で拠点整備を実施

2020.02.06

キリングループロジスティクス(本社・東京都中野区、戸叶弘社長)は1月31日、2020年度事業計画説明会を開催した。20年12月期の連結業績目標は売上高755億円(前年度比1・9%増)、営業利益3・7億円(57・0%減)と増収減益の見込みだとし、営業利益率は前年度より0・7pt低下の0・5%とした。単独での外販事業業績では売上高181億円(2・7%減)、営業利益1・7億円(54・1%減)と減収減益、営業利益率は1・1pt低下の0・9%を目標値とした。

戸叶社長(写真)は、今年度の増収減益の背景として「19年からの3年の中計では『運びきる力』を向上させることを定め、輸送力拡大のために集車力の強化に取り組んでいる。実運送を担っていただく協力会社への外注費をしっかり払い、輸送力を確保することが必要だ」と強調し、「確実な輸送力に支えられることが、一般貨物の安定的な確保につながり、中計に掲げた『高品質の物流サービスを進化させ続け、“運びきる”ことでグループ内外の顧客のかけがえのない存在となる』というビジョンの実現につながる」と強調。「当然、一定のコストがかかる取り組みであり、ここは〝我慢の年〟と覚悟を決め、次年度以降の発展につなげていく」と表明した。

拠点整備や経営システム導入準備へ

20年度の重点的取り組みでは、引き続き中計に掲げた構内や店頭での待機時間削減や安定的な車両確保を進める。また、19年度には、首都圏で3拠点、中部圏で1拠点、近畿圏で1拠点と拠点網を拡充しており、今年度は昨年度程ではないものの、全国(北海道、東北、首都圏、中部、近畿圏、中四国)での拠点整備を順次実施し、既存拠点の保管やオペレーション能力を増強していく考え。

今年度単独の取り組みでは、東京オリンピック・パラリンピック大会開催時の円滑な輸送対応をキリングループの事業会社と協力しながら実施していく。加えて、同社では21年中に、全体的な経営効率化に向けて基幹経営管理情報システムの導入を行うこととしており、今年は新システムへの変更・移行準備に取り組んでいく。

「ホワイト物流」を加速、昨年より検品レスもスタート

また、「運びきる力」の向上とともに、物流企業としての社会的責務の実現を図るため、CSV(共有価値の創造)戦略の推進に取り組んでいく。具体的には、キリングループが「ホワイト物流」推進運動への自主行動宣言に掲げた、ビール他社との協働によるビールパレット共同回収を推進するほか、同業・異業種と連携した鉄道モーダルシフトを実施する。異業種との連携では広島(広島貨物タ)~関東(熊谷貨物タ)間での31ft鉄道コンテナを活用したラウンド輸送などに取り組むとしている。
戸叶社長は「輸送の安定化と効率化に向け、ビール以外の他業種とも連携し、共同物流を推進することが今後ますます重要となる。輸送手段についても、鉄道コンテナに限らず、ラウンド活用のパートナーを積極的に探していく」と述べた。

商流と連携した取り組みでは昨年9月より三菱食品と連携し、一部の納品先を対象に、検品簡易化を開始した。車両単位を納品グループのユニットとしてまとめ、事前出荷情報(ASN)を提供することで検品作業の効率化(検品レス)を図っている。

そのほかにも、リードタイム緩和の取り組みとして、18年6月よりキリンビバレッジが食品系の届け先に対し「出荷日前々日受注」(D+2)に切り替える取り組みを実施している。また、ビバレッジ社以外でのリードタイム緩和については、納品先である卸と課題を共有しながら、丁寧に進めていく考え。
さらに、18年に導入した新WMS(倉庫マネジメントシステム)「MOSES」の2次改善によりフレキシブルな構内作業指示を行うことで、車両のムダな構内待機時間の短縮を実現。加えて、今後の取り組み予定として、車両を軸として出荷場所の構内作業を連動させ、輸送と構内作業をトータルで効率化する仕組みを構築する考えだ。
(2020年2月6日号)


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