【トラック輸送】セイノーHD、低温物流の売上高21年度に300億円へ
セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市、田口義隆社長)は19日、東京都内で決算説明会を開催し、2017年度および中期経営計画(17~19年度)における重点施策の詳細を発表した。業際市場の開拓とオープン・パブリック・プラットフォームの構築、それらのベースとなる輸送事業の基盤強化を推進し、田口社長は「いかに上流からお客様目線になれるかが重要であり、成功事例も出ている」と施策の手応えを語った。また、低温物流事業の売上高を、21年度までに現在の200億円から300億円へ引き上げる方針も明らかにした。
低温物流では15年に子会社化した関東運輸を中心に事業を拡大し、小口混載便を事業化しながら、医薬品や食品などの輸送ニーズを取り込む。今期は同社主力エリアの北関東に加え、セイノーグループが集荷力を持つ南関東にも拠点を開設し、首都圏の貨物を獲得。18年度には47都道府県へサービスを広げ、19年度にはASEANともネットワークを結ぶ。
福山通運との協業では、共同運行便を今期160コース新設して242コースとし、うち4コースではコンテナのラウンド輸送も行う。共同出資会社エコアライアンスによる実運送を伴う共同運行便は今期12コース新設し、15コースへ増やす計画。共同一括配送サービス「エコデリバリー」も今期8ヵ所で開始して56コースへと広げる。
セイノーHDでは昨年12月にこばうんとも資本業務提携を締結したが、今後のM&Aについて田口社長は「労務管理がしっかりしていて社員を大切にする会社と考えたい」と述べた。
輸送事業では幹線輸送の定時性向上のため複数便体制を構築。小口混載1便目は午前配達、2便目を午後配達とし、大口・大ロット商品については別ルートを組む。また、運行距離800km以上の運行を目安に鉄道モーダルシフトを進め、鉄道利用路線を16年度の135便から19年度には215便まで増やす。
ロジスティクス事業では昨年3月新設の「セイノーロジ・トランス新木場」などで提供される路線便と物流センター業務の複合サービス「ロジ・トランス」機能を拡大。各地で保管庫併設型トラックターミナルへの建て替えを進め、新上越支店を17年10月に、新静岡支店を18年春にそれぞれ竣工する予定。このほか三郷、成田、名古屋も19年以降の開設をメドとする。神奈川県、京都府、大阪府、岡山県でも用地を探す。田口社長は「結構面白い仕事ができており(この事業を)起点にアジアへ飛ばせるのでは」と期待を寄せた。
館内物流事業ではビジネスセンター(BS)拠点との融合を図り、両業務の重なるエリアでは集配車両を一体運用するなどして効率化を推進。館内物流は現在の東京・名古屋地域に加えて、関西にも事業エリアを広げる。17年度中の開設準備施設は、東京都で4施設、大阪市で4施設、京都市で1施設、名古屋市で1施設の予定。
(2017年5月25日号)