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ダイセル物流が厚木で定温対応危険物倉庫が稼働

2019.12.03

ダイセル物流(本社・大阪市北区、坂本勝哉社長)は、11月11日から、厚木営業所(神奈川愛川町)で定温対応の危険物倉庫(写真)の営業を開始した。床面積は900㎡でうち380㎡を定温スペースとし、常温スペースについても将来的な定温化が可能な設計とした。神奈川県央地区は危険物倉庫が少ない上に、温度管理が可能な施設はさらに希少となることから、内陸のストックポイントにおける高付加価値な化学品の保管需要の受け皿として期待される。

将来的な定温スペースの拡張も

同社の中期経営計画では、収益基盤の強化として「自社アセットの有効活用」と「新たな物流サービスの提供」を掲げており、その一環として厚木営業所内で危険物倉庫を増設。需要が低迷し、稼働率が落ちている屋外危険物貯蔵所を屋内危険物貯蔵所(危険物倉庫)に変更することで、高稼働なアセットとして活用する狙いがある。

国内で生産される化学品は汎用品から高付加価値品にシフトする傾向にあり、温度管理のニーズに対応するため、危険物倉庫の増設では定温管理機能を付加。危険物出荷専用のトラックバースと積込み品置き場も新設し、構内で普通品と危険物の取り扱いエリアを分けることでリフトと車両の動線の交錯を解消し、安全性をさらに向上させる。

構内で2ヵ所の危険物屋外貯蔵所のうち1ヵ所を廃止し、既存の危険物倉庫2棟の並びに900㎡の危険物倉庫(消防法危険物第4類1~4石対応)を建設し、10月末に竣工。常温スペース(450㎡)、定温スペース(380㎡)に区分し、定温スペースは5~15℃に温度設定できるが、5℃で運用。将来的な定温スペースの拡張も可能となっている。

停電時には自家発電機が自動で稼働

高付加価値な化学品の取り扱いを想定し、設定温度が30分逸脱した場合、事務所と倉庫の制御盤で警報を発報。温度測定結果はUSBメモリーにデータ保存する。夜間休日に温度異常が発生した場合は、警備会社の警報システムで連絡を受けることができ、停電時には自家発電機が1秒後に自動で稼働。空調機故障時の緊急対応体制も整えている。

事業本部の谷本孝関東物流センター長兼厚木営業所長は、「危険物屋外貯蔵所の稼働率が下がっていたため、危険物屋内貯蔵所に変更し、アセットを有効活用した」と今回の新設の経緯を説明。また、従来は温度管理が必要な危険物は同業他社に預けていたが、自社の拠点で対応できるようになり、外部流出費用を抑えられるという。

同本部の平瀬浩明関東物流センター副センター長兼千葉営業所長は「従来、定温管理が必要な危険物を東日本の顧客向けに関西から出荷していたが、東日本のストックポイントである厚木営業所から出荷できるようになり、リードタイムの短縮や物流コスト削減につながる」と話す。

なお、厚木営業所は相模原愛川ICに至近の神奈川県内陸工業団地に立地し、敷地面積は約2万㎡。普通品倉庫と危険物倉庫で構成され、普通品倉庫では日用品、合成樹脂、危険物倉庫では有機溶剤(ドラム・缶)、化粧品、化粧品原料などを取り扱う。同団地は近年、物流施設の新設が続き、神奈川県央地区の一大物流拠点となっている。
(2019年12月3日号)


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