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セイノーHD/2Q決算、運賃適正化進み増収増益に

2019.11.21

セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市、田口義隆社長)が8日に発表した2020年3月期第2四半期の決算は主力の輸送事業で取扱物量が微減したが、適正料金収受が進捗して単価が上昇し、増収増益を達成した。これに伴い、通期業績予想も上方修正。15日の決算説明会で田口社長(写真)は「適正化が進んだことが利益創出の最大の要因」と説明した。

20年3月期第2四半期の連結業績は、売上高3153億4200万円(前年同期比4・3%増)、営業利益161億5800万円(9・4%増)、経常利益169億300万円(6・6%増)、純利益 211億6100万円(2・0倍)。

主力の輸送事業は売上高2325億9200万円(3・0%増)、営業利益123億4500万円(10・4%増)と伸長した。取扱物量は運賃交渉による離反や個人宛商品の減少、自然災害の影響、さらには営業日数の前期比減やG20大阪サミットの影響などで前年同期比97・5%と微減し、荷主件数も4%減少した。

一方で、適正運賃収受率は計画通りの63・0%となり、前年同期から1・4ポイント上昇。前期末に適正運賃未収受だった荷主のうち約3割が是正でき、収受率が改善して単価の回復につながった。下期は65・0%まで引き上げたい考えだ。
傭車料については自社化を進めているものの増加傾向に歯止めが掛からず、前年同期比3・4%増。運行便の自社化率は、前期末の73・7%から上期は74・0%へ上昇。貸切便の1便当たり収入は9・3%上昇したが、下払い費用も9・2%アップ。重量は2・4%増え、件数は2・1%減少した。

20年3月期通期の連結業績予想は、売上高を当初予想の1・0%増となる6360億円(2・8%増)、営業利益は1・8%増の332億円(6・4%増)、経常利益は0・3%増の347億円(3・2%増)とした。純利益は当初計画値の310億円(46・1%増)を据え置いた。

下期、物量確保をテーマに取り組む

下期は中期経営計画「バリューアップチャレンジ2020」(17~19年度)の最終年度として引き続き、荷主企業の課題解決への“価値提供”をテーマに施策を進める。輸送事業においては運び方改革による効率化として自社および他社連携でのダブル連結トラック運行を拡大する。21年からは有人隊列運行、22年には無人隊列運行の事業化も計画する。

600㎞以上の運行便については鉄道・船舶へのモーダルシフトを進め、19年6月から有明港(東京)~苅田港(福岡)を開始。上期にはフェリー便を2便、ライナー便を8便増やし、89便のモーダルシフト化を実施した。

ITの活用も積極的に進め、BtoB取引におけるEDI化率は上期実績の78・3%から通期では90・0%へさらに高めて、荷主企業の負担軽減と利便性向上、およびES(従業員満足)につなげる。下期は9月から、送り状ナンバーを入力すれば地図表示されるナビ機能を追加し、将来的にはAIによる自動ルート組み配達ナビの構築も視野に入れる。

ロジ・トランス機能の拡大も図り、今期は売上高490億円(前期比11%増)を目指し、保管スペースも17万5000坪へ拡充。23年3月期までには首都圏3拠点、中部2拠点、関西2拠点を増設することで保管スペースを21万坪以上とし、売上高640億円を目標に据える。

なお、向こう3年間における設備投資予定額951億4600万円のうち、ロジ・トランス施設は13拠点619億2300万円を見込む。
SGホールディングスとの連携では9月から幹線便の2コース(関東~中部、北東北~関東)を試験的に共同運行しており、11月にはコースを拡大。青森県などでは共同配送もスタートしている。

福山通運との協業では上期に、エコデリバリーが62件、共同運行が221コース、エコアライアンスが28コースに広がった。共同運行は来期までに300コースに増やす計画。

適正運賃収受に向けては、今年7月から料金体系をよりシンプルにわかりやすくした新運賃を開始。同運賃の荷主は全体の13%となり、下期以降も提案を進める。同時に、引き受け貨物の重量適正化にも取り組む。
通期の取扱量について西濃運輸の神谷正博社長は「現在、物量確保をテーマに取り組んでおり、前年対比100%は確保できるだろう」と自信を示した。
(2019年11月21日号)


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