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【ズームアップ】冷蔵倉庫、搬入スペースなく入庫減か

2019.11.19

冷蔵倉庫の庫腹のタイト感がますます強まっている。最大消費地の東京地区では在庫率が40%と超高水準にあったが、9月の入庫量は前月比マイナス。関係者によると、冷蔵倉庫がどこもいっぱいで搬入スペースがないため、入庫が減少している模様だ。東京港では12月以降、コンテナヤード(CY)内の混雑の一因となっている長期蔵置貨物を解消するため、コンテナの早期引き取りを要請することとしているが、リーファーコンテナの引き取りは貨物を搬入する冷蔵倉庫の空きがなければ難しく、また、CY外のリーファーコンテナ用電源を有する施設は限られているため、混乱も予想される。

全国的にひっ迫、搬入先の確保に苦労

全国的に冷蔵倉庫がひっ迫している。日本冷蔵倉庫協会によると、主要12都市(札幌、仙台、船橋、東京、川崎、横浜、名古屋、大阪、神戸、広島、松山、福岡)の9月の在庫率は32・8%。札幌、船橋、川崎、名古屋、広島以外は30%を超え、東京は40・8%、横浜は45・2%となっている。

9月の入庫量を見ると、主要12都市、6大都市とも前月比マイナスとなっており、在庫率の高い東京は4・6%減、横浜は15・5%減。入庫量が減っているのは、需要が減少したというよりも、搬入先がないためであると想定される。「出庫の状況を見ながら、少しずつ入れていくことで対応している」(冷蔵倉庫関係者)という。

例年、11月はクリスマスや正月商材の搬入が増えてくる時期だが、今年は庫腹のひっ迫の影響で制約が出始めている。横持ちコストがかかっても地方の冷蔵倉庫を活用する動きもあるが、地方でも徐々にタイトになってきており、冷蔵倉庫事業者は搬入先の確保に苦労しているのが現状だ。

出庫も鈍いため冷蔵倉庫がいっぱいで入庫ができず、「貨物が動かなければ、通関も作業もできない」など冷蔵倉庫関係者の収益への影響も懸念される。また、搬入先のスペースが空かなければコンテナも引き取れないため、デマレージ(フリータイムを超えて留置された場合に課される超過保管料)の発生も問題となる。

東京港では来年のオリンピック・パラリンピック大会時の混雑緩和に向け、12月以降、すべての貨物について船社のフリータイム(CY内の無料保管期間)の延長を行わず、早期搬出への協力を呼び掛けている。しかし、搬入先の冷蔵倉庫の空きがない状況が続けば、CY外にリーファーコンテナ用電源を備えた施設の整備なども課題となりそうだ。
(2019年11月19日号)


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