食品業界の商習慣見直しに本腰=農水省
農林水産省が食品業界における「商習慣の見直し」に力を入れている。食品ロス削減に向け納品期限緩和などの取り組みを強化しており、その一環として来年10月30日までに全国一斉に商習慣を見直すことを呼び掛ける運動をスタートさせた。「3分の1ルール」に代表される納品期限の緩和や賞味期限の年月表示化は、リードタイム延長や納品条件緩和など物流の負担軽減にも大きな効果が期待できる。
小売に推奨3品目の納品期限緩和を要請
農水省は現在、サプライチェーン全体で食品ロスを削減することを目的に「納品期限(3分の1ルール)の緩和」や「賞味期限の年月表示化」「賞味期限の延長」を一体的に推進している。こうした取り組みをさらに拡大していくため、今回、2020年10月30日までに全国一斉に商習慣を見直すことを呼び掛ける運動を開始した。
具体的には来年10月30日を「全国一斉商習慣見直しの日」とし、この日までに小売業者に対し「推奨3品目(飲料・賞味期限180日以上の菓子・カップ麺)すべての納品期限の緩和」を働き掛けるほか、食品メーカーに対しては「推奨3品目すべての賞味期限表示の大括り化(年月表示、日まとめ表示)」を要請していく。
さらに、商習慣の見直し機運を高めるため、今年度末に賞味期限の年月表示化に取り組む企業の調査・公表を予定しているほか、納品期限緩和に向けた意見交換会(来年1月頃に東京・大阪で開催予定)、賞味期限の年月表示化セミナーの開催などを計画している。
納品期限を緩和する小売は増加傾向に
また、農水省では今回、小売事業者における納品期限緩和への取り組み状況を公表した。それによると、今年10月時点で、推奨3品目および緩和を前提として検討すべき品目(袋麺、レトルト食品)を対象に納品期限を緩和もしくは予定している小売事業者は94事業者となっており、今年3月末時点での39事業者から大幅に増加した。
内訳を見ると、総合スーパー11社、食品スーパー60社、コンビニ8社などとなっており、業態ごとのシェアは総合スーパーで88%、食品スーパーで25%、コンビニで93%と納品期限緩和がかなり浸透してきていることを伺わせている。
(2019年11月12日号)