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【トラック輸送】神奈川ト協/全ト協が全国初の価格交渉セミナー開催

2017.06.22

運賃・料金の値上げへ向け、トラック協会の取り組みが進んでいる。神奈川県トラック協会(吉田修一会長)は19日、全国初となる「価格交渉セミナー」を全日本トラック協会(全ト協、星野良三会長)とともに横浜市で開催した。セミナーでは国土交通省の協力も得て、運賃・料金の適正収受や生産性向上に役立つ事例や運賃交渉のためのノウハウが紹介され、多くの参加者が熱心に聴講した。今後は各地方トラック協会で価格交渉セミナーの開催が活発化しそうだ。

セミナー開催にあたり、挨拶に立った吉田会長は、「タクシーやバスと異なり、運賃・料金を上げるためには、われわれ自身が荷主と交渉しなければならない。なかなか容易なことではないと理解しているが、それに取り組まない限り、いつまでも運賃は上がらない」と指摘。「国交省やトラック協会の様々な取り組みにより運賃交渉をしやすい環境を作ることができても、実際に値上げを実現するのは各事業者の努力次第となる。本日のセミナーで得た知識を運賃・料金交渉に活用していただきたい」と強調した。

セミナーは3部構成。第1部は、国交省自動車局の加藤進・貨物課長が運賃・料金の適正収受へ向けた国交省の取り組みについて講演した。第2部では野村総合研究所の森川健・上級コンサルタントが「トラック運送の生産性向上方策」について、第3部では日本PMIコンサルティングの小坂真弘社長が「取引先との価格交渉」のノウハウについて講演した。

国交省の加藤貨物課長は、適正運賃・料金の収受と長時間労働削減へ向けた施策と、国交省全体で推進している「生産性革命」の取り組みについて説明した。とくに、運賃・料金の価格交渉を進めるには運賃と附帯業務料金の範囲を明確化することが重要であり、そのため、7月に標準貨物自動車運送約款を改正し、運送状などに運賃と附帯業務料金を具体的に記載することとしたとし、10月に施行する標準約款をもとに価格交渉を行うことが重要だとした。

また、加藤課長は、国交省、公正取引委員会、中小企業庁が合同で作成した荷主向けのリーフレットについて説明し、「法令違反となる可能性のある取引事例について記載している。荷主との交渉の際には、このリーフレットを持参し、取引条件が不適切なものにならないよう、荷主の理解を得るために活用してほしい」と述べ、その上で「適正な取引を実現するためには、最終的には事業者の皆さんの交渉が重要だ。改正標準約款や国交省作成の価格交渉ハンドブックを大いに利用していただきたい」と語った。

続いて、野村総研の森川氏が、運送業者の生産性向上のための手引書をもとに、様々な優良事例について解説した。休憩をはさんで、日本PMIコンサルティングの小坂氏が、運賃・料金の交渉に役立つ原価計算や交渉実務のノウハウについて説明した。

セミナーの参加者からは「荷主との交渉は大変だが、やらなくてはならないと思った」「ドライバー不足の状況を荷主に理解してもらい、運賃値上げにつなげたい」「長時間労働を改善するためには原資として運賃・料金を上げてもらうしかない。交渉を開始するつもりだ」などの声があがっていた。

(2017年6月22日号)


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