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ホクレンが新幹線高速化で危機感を表明

2019.08.13

ホクレン農業協同組合連合会(ホクレン、内田和幸理事会長)は7日、都内で記者説明会を開催し、北海道農業における物流面での課題や今月29日に北海道斜里町の「中斜里製糖工場」で実施する大型トラック実証実験の概要、北海道農業の歴史や現況について説明した。

冒頭、内田理事会長(写真)は「ホクレンは7月18日で創立100周年を迎えた。これからも北海道の農業団体として北海道農業と北海道全体が元気になるよう、最大限の力を尽くしていく」と挨拶。

続いて、板東寛之理事専務が北海道農業における課題として、貨物列車と北海道新幹線の青函トンネルでの共用走行問題を指摘。北海道産の農畜産物は1日約1万t、年間350万tが道外の都府県に輸送されており、ホクレン単体では年間258万t。このうち、北海道を代表する農産品であるじゃがいもや玉ねぎ、精米は年間81・4万t(2016年度)がJR貨物により青函トンネルを通って輸送されている。青函トンネルを走行する新幹線は現在、貨物列車のすれ違いを考慮し、共用走行区間で時速160㎞で走行しているが、30年度に予定される新幹線の札幌延伸による高速化で、貨物列車が青函トンネル等の共用区間を通過できなくなる可能性がある。

板東氏は「海上輸送を利用する手もあるが全てをシフトすることは難しい」と指摘し、JR貨物による輸送が必要であることを強調した。ホクレンのじゃがいもや玉ねぎを扱う青果市場の多くは貨物駅と近接しているため、トラックによる陸上輸送距離が短く、リードタイムや輸送コストの面で大きなメリットがあるとした。

「海上輸送にシフトした場合、陸上輸送距離が伸びて輸送コストが増加するほか、より多くのドライバーが必要になる。みずほ総合研究所は、道内で700人、道外で1550人のドライバーが必要と試算したが、我々はそれ以上のドライバーが必要になると予測している」(板東氏)と危惧を表明。また、ホクレンによる、北海道から都府県へのフェリーおよび貨物船の航路は限られており、一度の運航では最長で京都府舞鶴市までしか運べず、舞鶴以西地域への輸送は再度船を乗り換える必要があるため、余分な時間と輸送コストが発生する。

板東氏は「北海道産の農畜産物を全国に確実に届けるためにはJR貨物の利用は必須。JR貨物と新幹線が青函トンネルを共用走行し、北海道の食と環境が共存できることを強く望んでいる」と訴えた。また、国交省が検討している貨物新幹線については「例えばメロンや花など新鮮な状態で全国に配送できる部分では良いと思うが、貨物新幹線は1編成10両で、最大積載量は65tくらいと聞いている。我々は1度の運行で農畜産物を1編成20~50両、500tを運ぶため、量の違いを考えると難しい」と説明した。

また、レベル4のトラック自動運転技術の実証実験については「トラックドライバー不足が加速していることで、将来的に現在の物量の農畜産物を運べなくなる。その解決に向けて、実証実験を8月から1ヵ月間行うが、2年後の実用を目指している。北海道で自動化運転技術を入れて物流を安定させる必要がある」と述べた。
(2019年8月13日号)


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