国交省、トラック「5台割れ」対策を強化
国土交通省は11月1日から、トラック運送事業者の〝5台割れ〟対策を強化する。事業計画変更で営業所に配置する車両数を減車する場合、従来は「事前届出」で済んでいたものを、法令遵守が十分でない事業者などを対象に「認可」制にハードルを引き上げる。これにより、新規参入時の基準である「保有台数5台」の維持徹底を図るとともに、むやみな5台割れの横行を抑制する。
ハードル上げることで、「5台割れ」を実質的に抑制
国交省は1日、改正貨物自動車運送事業法に盛り込まれた「規制の適正化」「事業者が遵守すべき事項の明確化」に関する省令等を交付・発出した。施行は11月1日。
この中で、事業計画における営業所に配置する車両数の変更について、現在は一律に事前届出の対象になっているが、法に定める認可基準に適合しないおそれのある場合(法令遵守状況が十分でない場合等)は、認可の対象とすることを定めた。
これにより、これまでは即日有効となっていた減車申請が認可の対象となり、監査などで法令遵守が十分でないと指摘された事業者などは事実上、5台割れとなる減車が認められなくなる可能性が高くなったといえる。
もともと、トラック運送事業に新規参入する場合、「最低保有台数5台」が許可基準となっている。しかし、参入後に減車する場合は事前届出で済んだため、5台割れ事業者が増える結果となっていた。国交省では5台割れ事業者を集中監査するなどの対応を行ってきたが、今回、届出から認可へハードルを高くすることで、5台割れ対策を強化することになる。
「処分逃れ」防止へ、密接関係者の内容を定義
参入許可基準の厳格化では、法令違反事業者に対する許可の欠格について、改正事業法で欠格期間をこれまでの2年から5年に延長するとともに、親会社などの密接関係者が5年以内に許可の取り消しを受けている場合も対象として追加。さらに今回の関係省令等では、密接関係者の具体的な内容について「許可を受けようとする者の議決権の過半数を有していること等」を定めた。
これにより、処分を受けた事業者が資本関係のある子会社・グループ会社などを使って事業を継続する、いわゆる「処分逃れ」を防ぎ、悪質事業の排除を強化していく。
また、事業許可時の審査について、申請前の行政処分歴の確認期間などを延長することで、参入時のチェックを強化する。
このほか、トラック事業者の遵守義務事項も明確化。保有車両を収容し適切な点検・整備が行える広さの車庫の保有、十分な賠償支払い能力、健康保険・厚生年金保険料の納付などを定めた。
(2019年8月13日号)