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飲料包装材の傷・汚れ、販売許容へ=国交省、農水省など

2019.08.01

国土交通省、農水省などは、飲料配送で包装資材の傷や汚れについて輸送・保管などに支障をきたす場合を除き商品としての販売を許容すべきだとする指針をまとめた。配送中の貨物の毀損範囲と損害賠償の対象範囲についてメーカーが合理的な基準を設け、運送事業者と共有することを要請。併せて、標準貨物自動車運送約款の適用細則に、毀損に伴う損害賠償の対象範囲は実際に毀損した商品に限定されることを盛り込んだ。今後、飲料配送の事業者に対し指針の概要や約款に沿った処理を行うよう周知を図っていく。

毀損範囲と賠償処理を標準約款で規定

国土交通省、国税庁、農林水産省、経済産業省、中小企業庁など飲料メーカーや運送事業者を所管する関係省庁などで共同主催する「飲料配送研究会」が7月26日、報告書を取りまとめた。併せて国交省では、飲料配送中に事故や急ブレーキ、路面環境などにより貨物に毀損が生じた際に賠償などの処理を行う場合の、標準貨物自動車運送約款の適用細則を定めた。

指針では、段ボールなど包装資材の扱いについて、商品である中身が毀損していなければ、包装資材に傷や汚れがあっても、輸送・保管などに支障をきたす場合を除き、そのままの荷姿で販売することは許容されるべきだと提言。

また、これまで貨物の毀損範囲の判断では、メーカー側だけの判断によることが多かったのを改めた。包装資材の外観などから毀損範囲を推定する場合、飲料メーカーが合理性のある判断基準を作成し、あらかじめ運送事業者との間で共有した上で、それに従って毀損範囲を決めることとし、判断基準が作成・共有されていない場合、必ず運送事業者と協議の上、毀損範囲を決定すべきとした。

廃棄費用と責任も規定を明確化

標準貨物自動車運送約款の適用細則では、毀損に伴う損害賠償の対象範囲は、実際に毀損している商品に限るとした。一方で包装資材の外観などから毀損範囲を推定する場合は、あらかじめ共有された判断基準によって推定される毀損範囲を損害賠償の対象範囲とする方法もとりうることを示した。

また、民法(422条)や判例から、運送事業者が貨物の全額を賠償した場合は運送事業者が貨物の所有権を取得することを明確化。ただし、飲料メーカーがブランド信用力の維持等の観点から毀損貨物を運送事業者に引き渡さない場合、メーカー側は全額賠償された商品の所有権を得てから行うこととした。

具体的には、飲料メーカーが運送事業者から相当程度に減額された金額で買い戻すか、または、運送事業者が賠償する段階で、商品価額を相応に減額された金額とすることとし、これについては契約で取り決め、明文化する。廃棄処理などを飲料メーカーが行う場合、廃棄に要する費用は飲料メーカーが負担する。加えて、飲料団体と運送団体は、相談窓口を整備するとともに、今後も定期的に飲料配送研究会を開催することで問題事例を協議し、判断を積み重ねることとした。

運送事業者に運送以外の役務を依頼する場合は、追加の料金として明確化する必要があり、荷送人がより質の高い運送を求める場合は、付加的な輸送対価として明確化するとした。
(2019年8月1日)


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