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トラック予約、時間指定の強化に?

2019.07.30

「ホワイト物流」の有力ツールとされる「トラック予約システム」――。倉庫でのトラックの集中緩和により待機時間削減に寄与し、導入すると物流総合効率化法の認定を受けられるため、荷主、物流業界で徐々に導入が広がりつつある。一方で、トラック予約システムの運用により結果として時間指定の強化につながっていたり、予約した時間までの“待ち時間”が発生するといった“ひずみ”も出始めている。

荷待ち時間の記録、物効法適用で注目

トラック予約システムの主な機能は、入構の事前予約やバース空き状態の可視化、ドライバーの呼出・バース誘導、構内滞留時間の実績収集など。対応端末はスマートフォン、タブレット、パソコンなどで、予約者はドライバー、管理者などを想定。基本機能に加え車両の位置情報からの到着時間予測、運送依頼情報の共有といった機能を備えているものもある。

トラック予約システムが注目される背景には、国土交通省による荷待ち時間短縮への対策強化がある。荷待ち時間がドライバーの長時間労働の一因やトラックの生産性の低下につながっているとして、その解消に向けて、2017年7月1日に貨物自動車運送事業輸送安全規則が改正され、荷主都合により30分以上待機した場合に、荷待ち時間等の記録を義務化した。

また、16年10月1日に施行された改正物流総合効率化法では、税制特例の適用を受けるための認定要件のひとつとしてトラック予約システムの導入が挙げられている。「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」で対応例としてその導入が推奨されるとともに、政府が進める「ホワイト物流」推進運動の推奨項目にもなっている。

ピンポイントの納品時間、負荷増大も

トラック予約システムの導入は、予約率が高まればトラックの集中緩和という点では“即効性”がある。予約制を導入することによって、倉庫側の処理能力や作業体制に合わせてトラックの入構時間を倉庫側でコントロールできるからだ。道路まではみ出して並んでいるトラックをなくすことができるため、警察や周辺住民からのクレームもなくなり、入構を制限するのだから、トラックの構内滞留時間も短くなる。

一方で、トラック予約システムの運用の裏側では課題も出始めている。たとえば、従来は「午前中」という納品時間帯だったのが、何時から何時までの「1時間」あるいは「30分」などピンポイントの納品時間枠となり、時間的な制約がきつくなるケースがみられる。製品の種類によっては夕方の予約枠が割り当てられ、「午前中にトラックに積み込みした後、夕方の納品時間まで荷物を積んだまま待っていなければならない」という報告もある。

また、昨今、食品業界で最近進みつつある「中1日配送」。トラックを確保しやすくするためリードタイムを延長する取り組みで、この場合は「前々日」に配車を組む。しかし、トラック予約システムの予約は大概は「前日」であるため、もう一度配車を組み直さなければならない手間も発生しているという。

トラック予約システムはその運用によっては、倉庫側からの時間指定強化につながり、ホワイト物流に逆行しかねない。また、トラック予約システムが乱立し、納品のたびに異なるシステムに対応しなければならないなどドライバーの負荷増大も指摘されている。トラック予約システムの普及と同時にシステムの標準化や全体最適の視点からの運用ルールづくりが求められそうだ。
(2019年7月30日)


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