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EC物流の未来と発展を研究=3PL協会EC物流委

2019.06.25

日本3PL協会のEC物流委員会(川村勝宏委員長・アスクル執行役員)は20日、東京都内で2018年度の成果発表会を開催した。18年度は2ワーキンググループ(WG)体制で活動し、各WGの代表者がその成果を報告した。19年度についてはWG1を改めて「初級コース」と位置付けた上で、WG2にテーマ別の分科会を設けることなどが事務局から提案された。

「オープンイノベーションを実現」アスクル

発表会ではまず、川村委員長(写真)がEC物流業界全体の展望と、アスクルのロジスティクスについて講演。同社ではEC物流で課題となる物量波動の吸収に向けてポイントキャンペーンなどを活用して販売動向を平準化する取り組みを進めていることや、物流効率を考慮した商品開発を行っていることなどを紹介した。

サプライチェーンにおいては、最新技術を活用した「倉庫の自動化」と「配送の自社化」を推進。倉庫の自動化は庫内の搬送やピッキング業務で進んでいる一方、「輸配送や搬出入といった上流と下流で人の手による作業がまだ多い」(同氏)として、今後、無人フォークや荷卸しロボット、パレタイザの導入などでさらに自動化を進めたいとした。

さらに、アスクルでは物流のシェアリングにも着手。プラットフォームモデル「Open Platform by ASKUL(OPA)」として、「ASKUL Value Center関西(AVC関西)」ではネスレ西日本とユニ・チャームの物流を受受託していることを紹介し、とくにユニ・チャームからはオムツの物流を委託されており、配送先も病院や介護施設などアスクルの届け先と重複していることから「共同配送の形で運用している」と解説した。

BtoC配送ではLOHACOの「Happy On Time」で宅配ボックスや置き配、配達直前通知、段ボール回収など自社配送ならではのサービスメニューを揃えていることや、AIを活用した配送の効率化施策を取り上げ、「配達不在率2%を維持していることからIYフレッシュの生鮮品の配送も請け負えている」と説明。その上で、川村氏は「オープンイノベーションを実現し、環境に優しいサービスで社会に貢献していきたい」と展望した。

今後のEC物流はテクノロジーの導入が必須

続いて、2WGが1年間の活動成果を報告した。WG1は「EC物流の発展を考える」をテーマに研究し、「EC物流の発展は時間短縮が実現する」との結論付けから、EC事業者・物流事業者・消費者にとっての時間短縮について、理想と現状、課題を深掘りした。研究の結果、EC事業者の「代金回収への時短」はデータ連携基盤の充実で実現できるとともに、物流事業者の「梱包作業の時短」は新技術の活用や梱包レスで解決。さらに消費者の「購入から配達までの時短」はビッグデータの活用による需要予測精度の向上などで可能になるとした。

WG2は「未来のEC物流」をテーマに掲げ、EC物流事業を展開する3PL会社が今後取り組むべき課題を取りまとめた。今後、EC物流業界ではEC市場の拡大と人手不足のギャップが発生するとして、物流費の上昇を予測。その対策として、3PL会社においてはシステムと機器の導入、さらには効果的な物流投資を行うためにシェアリングロジスティクスや共同物流センターの開発が求められることを指摘した。
(2019年6月25日号)


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