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フォークマンが集まらない! “稼げるドライバー”に回帰する動きも?

2019.06.20

物流センターなどでフォークマン不足が顕在化し始めている。トラックドライバーの賃金が上昇していることから、もともとトラックの免許を保有しているフォークマンがドライバーに転職を希望するケースもあるようだ。一方で、ドライバー不足への対応やドライバーの安全確保のため、従来ドライバーが行っていた物流センターでの積み下ろし作業をやめようという動きもあり、物流センター側でのフォーク作業は増加するのに、フォークマンは足りないという状況が起きる可能性がある。

賃金上昇でドライバー職が魅力アップ?

納品先などで貨物の積み降ろし作業が発生する場合、効率的に業務を行うためにトラックドライバーでもフォークリフトを運転できることが望ましく、ドライバーの求人では「要フォークリフト免許」が条件になっていることがある。フォークにも乗れると業務の幅が広がるため転職にも有利で、賃金面でも優遇されるため、ドライバーはトラックの運転に必要な免許とフォークリフトの運転資格の両方を所持していることが多い。

ドライバー職は勤務時間が不規則でその日のうちに帰宅できないこともあり、家族との時間が持ちにくいため、これまでは「車を降りて、フォークマンになった」というケースも多かった。しかし、最近ではトラックドライバー不足が社会問題化し、ドライバーの賃金が上昇しているほか、長時間労働の是正など労働環境の改善も図られつつあるため、ドライバー職の魅力がやや高まっている。

物流関係者によると、「ドライバーは稼げる環境になってきた。運賃の上昇に伴いドライバーの賃金がじわりと上がっているのに加え、繁忙期にはスポット運賃が高騰しているため、“一発ホームラン”のボーナスまで出せるようになった」。一方で、フォークマンの賃金はあまり変わっておらず、「ドライバー以上にフォークマンの方が集まりにくい」という声も聞かれる。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、18年のトラックドライバーの年間所得額は大型で457万円、中小型で417万円だった。民間の求人サイト「求人ボックス求人ナビ」によると、フォークリフトの仕事の平均時給は派遣社員で約1250円。アルバイト・パートでは1005円程度。正社員の平均年収は約337万円が相場で、業態により単純比較はできないもののドライバー職に比べ低い傾向にある。

技能講習修了者は10年前より5万人減

荷主の施設での手荷役を伴う業務はドライバーが敬遠し、また、フォークリフトの荷役中の事故のリスクを回避するために、荷主の施設でのドライバーの「自主荷役」を廃止する動きも出てきた。荷役の対価を規定した改正標準貨物自動車運送約款に続き、6月15日からドライバーの荷役作業・附帯業務の記録が義務付けられ、実態把握が進むことで「自主荷役」の廃止を含めた見直しが一層加速する可能性もある。

なお、フォークリフトの運転の資格取得に必要な、労働安全衛生法の規定に基づく「運転技能講習」の修了者は2014年以降減少傾向にあり、17年は22万1038人だった。10年前の07年の27万1446人と比べ、約5万人減少し、有資格者そのものが減っている。ドライバーが荷役や附帯作業を行う前提としていた物流センターでは、荷役作業への対応や作業員の確保が課題になりそうだ。
(2019年6月20日号)


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