全清飲が製品の年月等表示の取り組みを加速
食品・飲料業界で製品の「年月等表示」が浸透しつつある。清涼飲料メーカーなどで組織する全国清涼飲料連合会(全清飲、掘口英樹会長)では、2017年に「年月等表示ワーキンググループ(WG)」を発足して取り組みを開始。昨年6月の調査では、同WGに参加する飲料大手7社の賞味期限12ヵ月以上製品における年月等表示製品の割合は9割を超える見込みに至った。全清飲では今後、12ヵ月未満製品の年月等表示も推進していく方針にあり、石黒隆企画部長は「年月等表示が拡大すれば、食品ロスのみならず物流面でも不要な在庫転送が削減でき、人手不足対応にもつながる」と指摘する。
CO2削減や働き方改革にも貢献
全清飲が進める「年月等表示」には、「年月表示」と「日まとめ表示」の2種類が含まれる。「年月表示」は賞味期限を月単位で表示。「日まとめ表示」は、一定期間に製造された製品の賞味期限を同一の年月日にまとめて表示する方法を指し、製品賞味を担保するため、賞味期限は最大1ヵ月近くの切り捨てとなることもある。
これらの年月等表示により、製・配・販の各現場で月別の賞味期限管理が可能になれば、物流拠点間の転送が削減され、CO2排出量の抑制が見込まれる。また、賞味期限の日付ごとに分かれていた倉庫保管スペースを削減できる上、先入れ先出し作業の軽減による労働生産性向上で働き方改革にも貢献。農林水産省の試算によると、年月等表示の導入で商品補充時の作業時間は1SKUあたり35秒から27秒に改善されるという。
流通系の7団体に協力を要請
その上で、全清飲は昨年11月から今年3月にかけて流通業の7団体に対して「食品ロス削減のための納品期限見直しの取り組みについて」との文書を取りまとめて、賞味期限の年月等表示への支援・協力を要請。「食品ロスの削減には、各業界団体を含め、消費者にもご理解をいただく必要がある。引き続き、各関係団体と協力し、食品ロスの発生抑止を進めていきたい」と石黒氏は語る。
清涼飲料業界の年月等表示推進活動は、消費財流通企業が主体となって立ち上げた組織体「日本TCGF(The Consumer Goods Forum)」が13年からスタートし、全清飲でも17年2 月にWGを発足した後、、18年9月に「食品ロス発生抑止・削減に向けた賞味期限の年月等表示に関する清涼飲料水自主ガイドライン」を策定・HPで公開している。
(2019年4月18日号)