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日本通運が4月から社員制度を抜本的改革

2019.02.28

日本通運(本社・東京都港区、齋藤充社長)は22日、新経営計画の発表会見の中で、今年4月から実施する社員制度改革の内容を発表した。同一労働同一賃金に対応した賃金制度改革、65歳定年への段階的延長や社員区分の見直しなどの人事制度改革、福利厚生・退職金制度の適用拡大――などが柱。とくに同一労働同一賃金では、2020年4月の制度開始から1年前倒しで対応する。管理部門を担当する竹津久雄副社長は「法制化に先んじて対応することで、人材確保や社員のモチベーションアップなど社内の活性化が期待できる」と述べた。

同社では、働き方改革に伴う労働関連法制への対応や高齢者や女性の活躍促進、社員区分の多層化といった課題の解消を目的に、約3年前から労使で社員制度の抜本的改革に向けた検討を開始した。

その中で、同一労働同一賃金への対応について、正社員と同じ働き方をしている有期雇用社員を対象に、今年4月から正社員(エリア職)への登用を行うほか、正社員と同じ労働条件に見直す。具体的には、現在約1万3000人いる有期雇用社員のうちフルタイムで働く約6000人が正社員と同じ労働条件に見直される。さらに、約6000人のうち約3600人がエリア職の正社員となり、残る約2400人は有期雇用のままだが、正社員と同様の労働条件に切り替わる。

併せて、人事制度も抜本的に見直す。今年4月から定年年齢を段階的に延長し、5年かけて現在の60歳から65歳に引き上げるほか、新たに「役割等級制度」を基軸とした人材マネジメントを導入する。「多様な社員がそれぞれ求められる役割に対して力を発揮してもらうことで、一体感を醸成したい」(竹津副社長、写真)とした。このほか、年休取得の義務化に対応して休暇制度の見直しも行う。

今回の一連の社員制度改革に伴うコスト影響について、同社では3年後の21年度で180億円、23年度で200億円と試算(18年度対比の増加分)。このうち初年度の影響額は100億円を見込む。「初年度は同一労働同一賃金への対応により、コストが大幅にアップする。2年目以降は、定年の段階的延長に伴い毎年10億円強のコストアップになる」(同)と説明した。
(2019年2月28日号)


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