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日倉協が「働き方改革と人材確保」をテーマに議論

2019.02.21

日本倉庫協会(松井明生会長)は18日、第12回中小倉庫業経営者セミナーを東京都千代田区の経団連ホールで開催した。「働き方改革と人材確保」をテーマとしたパネルディスカッションには、大塚倉庫(本社・大阪市港区)の濵長一彦社長、ダイワコーポレーション(本社・東京都品川区)の曽根和光社長、森本倉庫(本社・神戸市中央区)の森本真弥社長がパネリストとして登壇。太成倉庫(本社・東京都足立区)の鈴木又右衞門社長がコーディネーターを務め、各社の取り組みを話し合った。

  有給休暇使い社員が“世界一周”

鈴木氏は、働き方改革のポイントとして、①罰則付き時間外労働の上限規制②年5日間の有給休暇の取得義務③勤務間インターバルの努力義務④中小企業の月60時間以上の割増賃金率50%⑤産業医の機能強化⑥同一労働・同一賃金⑦高度プロフェッショナル制度⑧清算期間3ヵ月のフレックスタイム制度の導入――を挙げ、改正法の上限規制に違反した場合、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることを強調した。

濱長氏は、残業時間の削減に関し、「部署ごとに最終退出者の退社時間と名前を報告するようにしたところ、早く帰るようになった」と報告。テレワークに関連し、全国の拠点をインターネットと大型テレビでつなぎ、忙しい部門を常時把握しながら他部門からの応援を可能にした相乗効果にも触れた。有給休暇については上司から積極的に利用するほか、有給休暇を使って社員が“世界一周”の夢をかなえた例も報告した。

“多能工化”、時間単位での有給休暇も

曽根氏は、入社1~3年目の若手社員が新卒採用の全般を担当する「和く和くプロジェクト」について、会社への忠誠心や貢献意識の向上につながり、3年目の離職率低下につながっていると報告。1、2人が研修等で抜けてもオペレーションが回るよう倉庫現場の“多能工化”を提案した。また、採用時の倉庫見学では入社後にギャップを感じないよう、良い部分とそうでない部分の両方を見てもらうことが重要であるとした。

森本氏は、魅力ある会社づくりと従業員満足度向上への取り組みとして、有給休暇の取得奨励日の設定、時間単位での有給休暇の取得促進、プレミアム休暇(連続休暇)取得の促進などの施策を紹介。モチベーションアップのためのユニフォーム刷新や、職場環境の改善、社外研修への積極的な参加奨励、生産性向上に向けた情報システムの再構築のほか、4月から3日以上の連続休暇取得に対する奨励金導入の方針も明かした。

有給休暇を取りにくい環境でいかに社員に取得させるにかについて、濱長氏は「現場でiPadを持たせると、全国の現場の状況が分かり応援に行ける。全体最適の視点で見ると人手不足は解消できるのではないか」と指摘した上で、「応援を出してもらえると分かれば、社員も休みやすくなる」と強調。曽根氏は「和く和くプロジェクト」の成果として若手社員の成長を挙げ、「自らPDCAを回し、採用だけでなく通常業務でもその手法を活用している」と述べた。

森本氏は、「有給休暇を少しでも取得しやすくするためには制度化が必要。取得奨励金を人間ドックの受診などに利用してほしい」と強調。濱長氏は「有給休暇を取得させることによって、引き継ぎなどが必要になるため、周りの社員が成長する」と指摘した。鈴木氏は、労働時間短縮に伴う人材さらなる確保の必要性を念頭に「これからは従業員の労働環境改善も念頭に荷主と交渉する時代になる」と締めくくった。
(2019年2月21日号)


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