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全国通運連盟が「鉄道利用運送推進全国大会」開催

2019.02.12

全国通運連盟(渡邉健二会長)は6日、都内で「第14回鉄道利用運送推進全国大会」を開催した。全国の通運事業者や荷主、JR貨物、国土交通省などの関係者が多数出席し、鉄道輸送利用の拡大に向け、取り組みなどを紹介した。

冒頭、挨拶に立った渡邉会長(日本通運会長)は「米中の貿易摩擦をはじめとした各国の情勢不透明により、日本経済への影響が心配されている中、自動車運転手の有効求人倍率は3倍を超え、トラックドライバー不足が深刻化している。また、来年は『パリ協定』により、“2030年度に13年度比で26%の温暖化ガスの削減”を目指す協定実行の年となり、鉄道貨物輸送への関心が一層高まっている」と説明。

さらに、「我々通運業界の最大の使命は、地球温暖化対策やトラックドライバー不足等を踏まえた鉄道コンテナ輸送へのモーダルシフト推進。改正物効法のほか『強い物流』の構築を目指す総合物流施策大綱に基づき、総合物流施策推進プロジェクトが定められ、連携・協働による物流体制が進んでいるが、こうした動きに対応して生産性向上を図り、さらなるモーダルシフトの推進や定着に向けて取り組みを強化する必要がある」と指摘した。

続けて、「鉄道コンテナの定着には、あくまでも利用者に選ばれる高品質な輸送サービスの提供や荷主等への認知度向上が極めて重要だ。そのためには、鉄道コンテナが持つ定時大量性や環境に優しい輸送といった強みを発揮すると同時に、輸送障害や輸送中の荷物事故等の弱みを全力で克服する必要がある」と強調した。
その後、来賓として壇上に立った国土交通省の松本年弘物流審議官は「2年前に物効法を改正し、モーダルシフトを初めて法律上位置づけてから、鉄道モーダルシフトの認定件数は30件にまで上昇した。引き続き、鉄道へのモーダルシフトを促進していく」と表明。続いて、JR貨物の真貝康一社長が挨拶した。

業務創造推進プロジェクトを紹介

開会挨拶のあとは、国土交通省の多田浩人大臣官房参事官が大会のテーマのひとつである「モーダルシフトのさらなる促進」に向けて、行政としての物流政策を報告。生産性向上に資する取り組みとして、新東名高速道路での25mダブル連結トラックの規制緩和やスワップボディコンテナの利用促進について説明した。

その後、JR貨物の犬飼新取締役常務執行役員が「JR貨物の将来に向けた取り組み」をテーマに講演。同社が持続的に発展する目的で掲げた「業務創造推進プロジェクト」の内容や「業務創造推進ワーキンググループ(WG)」の「財務会計WG」「車両WG」と「業務創造推進プロジェクトチーム」の取り組みを報告した。また、今後の構想として、構内でのフォークリフトの運転操作支援による荷役の自動化や駅内での入替機関車の遠隔操作などを紹介した。

新たな事例でモーダルシフトを推進

大会では新たな鉄道コンテナ輸送の活用事例として、日本通運大阪コンテナ支店営業センターの唐谷吉哉所長とクリモトロジスティクス物流部の丸井義之積送管理グループ長が「『フォールドデッキ』導入と『エコライナー』利用の合わせ技で物流改革を推進」、中越通運の五十嵐隆雄長岡ブロック長が「新潟~岡山間 31ftスーパーURコンテナの輸送実現」、大牟田運送の北原薫社長とニムシ電子工業営業統括部の菰方重広部長が「輸送品質の更なる向上への挑戦 輸送品質の見える化・求められる安心・安全」をテーマに講演した。

このうち日通とクリモトロジスティクスの事例では、鉄道コンテナ輸送方法のひとつである「エコライナー」に「フォールドデッキ」を導入した事例を紹介。丸井積送管理グループ長は「従来は、重量制限のある商品の上に段積みできなかったが、フォールドデッキを導入し、積載効率が格段に上がった」と語った。
なお、大会では最後に、全国通運連盟の大和隆人常任理事(合通社長)が大会決議文を読み上げ、採択された。
(2019年2月12日号)


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