日本通運/19年3月期2Qは半期1兆円超え、最高益更新
日本通運(本社・東京都港区、齋藤充社長)の2019年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比8・8%増の1兆403億3500万円、営業利益が5・6%増の340億2300万円、経常利益が9・6%増の377億8700万円、純利益が8・7%増の234億4800万円となり、いずれも過去最高値を更新した。国内では自然災害の多発による影響があったものの、日本発の航空輸出需要の好調などが牽引したほか、海外各地域セグメントも増収となった。10月31日に本社で会見した竹津久雄副社長は「上期として初の売上高1兆円を達成し、年間での2兆円が現実的となってきた。国内では度重なる自然災害があったものの、影響を最小限にとどめることができた」と述べた。
期中に発生した西日本豪雨、台風21号などの自然災害による直接的な影響額は、売上高で63億円、営業利益で20億円のマイナス影響があった。また、燃油単価上昇で18億3000万円のコストアップとなった。一方、為替によるプラスの影響が売上高で26億3000万円、営業利益で1億円あった。
日本セグメントでは自動車・電子部品を中心に航空輸出が伸長。また、国内複合事業も東・名・大が堅調に推移し、利益改善が進んだ。海外各地域はすべての地域で増収となったが、米州と欧州では反動減などにより減益だった。このほか、物流サポート事業は、日通商事の石油・LPガスの販売単価が上昇したことなどで大幅な増収増益となった。
通期業績は、売上高2兆1100億円(前期比5・7%増)、営業利益770億円(9・6%増)、経常利益810億円(8・9%増)、当期純利益450億円(588・7%増)を予想。航空貨物需要が引き続き好調に推移していることから、売上高を期初の予想値から300億円上方修正したが、利益については、人件費や外注費の高止まりや燃油費の高騰が続いていることから据え置いた。
現中計の利益目標を達成へ
今期は中期経営計画の最終年度に当たるが、売上高については目標値の2兆1500億円には若干届かないものの、営業利益と当期純利益については目標値である750億円、450億円を達成する見通し。また、国際関連事業売上高は年間8600億円を目標にしているが、上期の売上高は4013億円となり、全売上高に占める比率は38・6%で前年同期から1・5pt上昇した。
運賃・料金の改定目標を120億円に引上げ
会見で竹津副社長は、顧客との運賃・料金の改定交渉が当初の計画を上回るペースで進捗していることを明らかにした。同社では今期、年間80億円の改定効果を目標にしていたが、「上期で55億円の効果があったことから、通年での目標を120億円に引き上げた。人件費や外注費、燃油費の高騰に対応したもので、すべてが当社に残るものではない。運賃・料金の改定については、引き続き地道に交渉を続けていく」と述べた。
また、年末・年度末の繁忙期の対応について「人手不足の深刻度が増す中で、自然災害による影響からトラック運賃が極端に上昇している。これが年末繁忙期に向けて災害前のレベルに戻るのか、多少戻ったとしても昨年の年末より高止まりするのか読み切れない面がある」とした上で、「これからも外注費は上がり続ける時代になる。お客様にご負担をお願いする一方で、営業系・事務系社員の生産性を上げる取り組みも必要になる。繁忙期については、すべての依頼に対応できるほどの戦力は調達できないと思う」と述べた。
(2018年11月6日号)