オープン型「中継輸送」拠点、浜松に開設
日本初となるオープン型「中継輸送」拠点が誕生した。NEXCO中日本(本社・名古屋市中区、宮池克人社長)は3日、新東名高速・浜松SA(下り線)の敷地内に中継物流拠点「コネクトエリア浜松」を開設。遠州トラック(本社・静岡県袋井市、澤田邦彦社長)と連携し、社会的課題であるドライバーの長時間労働改善に向け、中継拠点として整備した。高速道路会社が中継輸送のための拠点を開設するのは初めての取り組みで、運送事業者に向けて広く利用を呼びかけていく。同日、オープニングセレモニーが開催され、多くの関係者が開設を祝った。
中継輸送が長時間労働改善に有効
セレモニーの開式にあたってNEXCO中日本の宮池社長が挨拶。「ドライバー不足の解消に向け、働き方改革を進めていかなければならないが、そのためには労働環境の向上が急務だ。その意味で長時間労働改善には中継輸送が重要な方策となる」と述べ、「東名・新東名高速は日本の交通運輸の大動脈であり、安定的なサービス提供と、さらなる効率化が求められる。中継物流拠点の運営を通じて、当社では物流のさらなる発展に協力していく」と意欲を語った。
テープカットが行われた後、遠州トラックの車両によるトラクタヘッド交換の実演が披露された。2台のセミトレーラが並列して駐車し、トラクタとトレーラを切り離して相互のトレーラを交換、拠点を出発した。
実演の終了後、遠州トラックの澤田社長は「6年前に静岡県が主催した『富士山物流フォーラム』に参加した際に、中継輸送を行うことが労働環境の改善やドライバー雇用の確保、事故リスクの低減につながると提案した。このたび一般の事業者が利用できる拠点の開設が実現し、感無量の思いだ」と挨拶。その上で「浜松は東京と大阪の中間地点であり、ドライバーがこの拠点でトレーラをスイッチすれば毎日自宅に帰ることができる。労働環境改善に資するものであり、現在、利用についての問い合わせが多数来ている」と説明。加えて「多くの運送会社が中継輸送を実施することで、コンプライアンス遵守や安全運転の向上など抱えている課題の解決をしていただきたい。今後幅広く同業他社に利用促進を発信していく。業界全体の労働環境改善に貢献していきたい」と強調した。
同社は浜松地区にも拠点をかまえているため、コネクトエリア浜松を活用する頻度は現在のところは高くなさそうだが、今後の関東~関西間での輸送ニーズを取り込み、業務量が拡大する際には、同拠点の積極的な活用も視野に入れている。
東京、大阪の2社が登録済み
3日現在、東京1社、大阪1社の運送会社2社が利用登録を行い、両社合わせて20台以上がすでに登録を済ませている。
来賓として静岡県トラック協会の加藤浩幸副会長がセレモニーに参加。加藤氏は「この地に一般の運送会社が利用できるスペースができたことは、業界の課題解決への大きな一歩となる。働き方改革の観点からもドライバーを大事にし、過重労働をさせないことが重要だ。中継輸送は今後ますます必要となり、具体的に進展していくべきだ。浜松でスタートした取り組みが全国に波及していくことを願っている」と期待を寄せた。
拠点は東京と大阪のほぼ中間に立地しており、両社合計で約5000万円をかけて整備。広さ8000㎡にセミトレーラ対応の駐車マス30を設けた。ドライバーは隣接する浜松SAの施設を利用して休憩もできる。
なお利用登録の窓口は遠州トラックが担当。コネクトエリア浜松の専用WEBサイトで募集している。
http://ca-hamamatsu.com
利用方法は事前に利用登録すれば、ICカードが郵送される。その後、利用する時間帯をWEB上で予約する。利用料金は1回(台)当たり600円で、利用回数に応じて事後清算する。その他に月会費として登録台数に応じた月会費が必要となる。登録台数が6台までの場合は、台・月あたり4000円で、登録台数7~14台は2000円、15台以上は1000円としている。
(2018年10月9日号)