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安川ロジステックがグローバル物流改革を推進

2018.07.10

安川ロジステック(本社・北九州市小倉北区、小関幸治社長)では、グローバル物流改革を推進する。安川電機は今年度から、中国で産業用ロボット、サーボモータの増産を計画しており、物量の大幅増に対応するとともに、中国国内の物流ネットワークを活用し、販売物流から調達物流まで改善活動の範囲を拡大する。グループのグローバル展開の加速に合わせ、通関やフォワーディングといった機能も充実させていく。

 中国向け輸出梱包仕様の「スキッド梱包」化を促進

安川電機では連結売上高の7割を海外が占めており、安川ロジステックではグローバルな物流支援に一層注力。その一環として2016年に「グローバル物流改革推進部」を新設した。安川電機の海外法人・拠点に対する個別の改善提案およびグローバルな改善提案、必要な国際物流機能の強化を推進している。

海外法人・拠点に対する改善提案は中国が先行しており、15年以降、国内物流ネットワークの構築に着手。中国国内では東北部の瀋陽工場(サーボモータ)、東部の常州工場(産業用ロボット)をはじめ製造拠点が分散しており、製品在庫の集約拠点として上海に近い江蘇省に昆山花橋倉庫を設置した。

従来、各工場が個別にトラックをチャーターしてエンドユーザーに配送し、一定のロットに満たない場合は混載便を利用するため、物流品質に課題があった。昆山花橋倉庫に製品在庫を集約することで物量がまとまり、瀋陽、天津、重慶、広州に順次設置したストックポイントまでチャーター便での配送を実現。

18年度は新たな取り組みとして、昆山花橋倉庫の輸出拠点としての活用の検討を進めるとともに、製品の物流ネットワークを部品の調達で活用。また、輸出梱包費の低減と梱包・開梱作業の簡素化を狙いとして、日本から中国向けに輸出する産業ロボットの輸出梱包仕様の改善を実施。従来の木枠梱包から「スキッド梱包」への切り換えを3月末から開始した。今後はチャーター便により輸送品質がある程度担保されたため、スキッド梱包を中国の国内輸送にも水平展開させることを検討する。

このほかドレージコストの削減に向け、常州工場向けの貨物の揚げ地を、現行の上海港から工場および昆山花橋倉庫により近い太倉港に変えることも協議中。上海~欧州の輸送について、中国大陸鉄道の活用も本格的に検討する。また、国内でのAEO(認定事業者)取得実績を活かし、グループ海外法人の認定取得を支援する。

グローバルな改善提案では昨年、グループ全現法が起用するフォワーダーについて安川ロジステックが主体となってグローバル入札を実施。10%のコスト削減を目標に掲げるとともに、Q(quality)C(cost)D(delivery)すべてを改善するため、各フォワーダーとKPIを共有し、定期的なレビューを通して改善活動につなげる。

国際物流機能の強化では、昨年10月に通関業の許可を取得。グループの通関業務を内製化することで費用の外部流出を抑える狙いがある。安川ロジステックの物流情報システム「YLVAN」で作成するインボイスのデータをNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)と連動できるため、内製化により急増する通関件数を最小限の人数で効率的にこなし、事業を拡大する。
(2018年7月10日号)


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