国交省が加工食品の荷待ち時間削減に本腰
国土交通省は、加工食品の物流分野でのトラックドライバーの長時間労働是正へ向けた方策を協議するため、荷主・物流業者・行政が参加する懇談会を設立し、6月29日に第1回会合を開催した。加工食品は輸送品目別で30分以上の荷待ち時間の発生件数が最も多いとされ、関係者が一堂に会して改善策を探るため、秋頃に実証実験を行い、3月末までに労働時間短縮の方策を取りまとめる。
「加工食品物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」(座長=矢野裕児・流通経済大学教授)を設立し、現状の課題について関係者間での認識を共通化した上で、加工食品業界の物流における時短と生産性向上に向け、具体的事例に基づく方策を取りまとめる。成果についてはホームページなどで公表するほか、加工食品のメーカー・卸・小売や物流業者へ周知を図っていく。
荷待ち時間の発生件数は加工食品が最多
国交省が昨年7月に全日本トラック協会の会員事業者を対象に荷待ち時間サンプル調査を実施したところ、輸送品目別にみて30分以上の荷待ち時間の発生件数は加工食品が最も多かった。回答件数3892件のうち、加工食品は398件と1割を占め、次いで建築・建設用金属製品が350件、紙・パルプが339件、飲料・酒が326件、生鮮食品が281件と続いた。
この結果を踏まえ、課題の共有化と改善に向けた方策の協議を行うため、関係者が連携する懇談会を立ち上げたもの。メンバーは、荷主側から味の素、三菱食品、セブン‐イレブン・ジャパン、ヤオコー、日本スーパーマーケット協会、日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が参加。事業者側では倉庫から日本冷蔵倉庫協会、3PLから丸和運輸機関、トラックから全日本トラック協会が加わり、行政からは国交省をはじめ、厚労省、農水省、経産省と関係省庁が集う。
国交省自動車局貨物課の平嶋隆司課長は懇談会について、「現状の課題について関係者間で認識を共有するとともに、各都道府県で開催しているトラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会のパイロット事業で得られたノウハウの横展開を行っていく」と説明。年度内をメドに時短に向けた方策を取りまとめることとし、「報告書あるいは事例集か、形式については今後検討していく」と述べた。
加工食品以外の分野でも時短協議の場を設ける
懇談会では秋頃にメーカー・卸・小売・物流事業者が参加する実証実験を行うことを決めた。また、ドライバーの時短の制約要因を把握するための調査を行うことも検討している。なお、国交省では、加工食品以外の荷待ち発生件数が多かった品目の分野についても、年内に関係者による懇談会を設立し、時短に向けた方策を検討していく考え。
(2018年7月5日号)