メニュー

日冷倉が入出庫トラックの「受付票」導入を提案

2018.06.21

日本冷蔵倉庫協会(大谷邦夫会長)では、冷蔵倉庫でのトラックの待機時間問題の早期解決に向け、入出庫トラックの「受付票」の導入を提案する。トラックを「並ばせない」受付運用のモデルを提示。「受付票」を活用し、ドライバーの健康状態を確認することで、改正食品衛生法で求められる「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」への対応も視野に入れる。

トラックを並ばせない受付運用の工夫を例示

日冷倉では昨年7月、トラック待機時間問題に対する冷蔵倉庫の自主行動計画を策定。待機時間問題の解決のみならず、冷蔵倉庫の業務効率化にも役立つ自主行動案についてさらに検討を重ね、大がかりな投資や関係者との長い調整期間を必要とせずに「今すぐに取り組めること」としてまとめた。冊子にし、7月以降会員に発送する。

自主行動案では、ドライバーの拘束時間規制や労働環境に配慮し、「トラックが到着順に並んで少しずつ動く」待機状態の解消が急務と判断。ドライバーの携帯電話番号を教えてもらい、「オーダー照合が終わった順」や「入出庫準備が完了した順」にバースに呼び出すなど、トラックを並ばせない受付運用の工夫を例示した。

個人情報保護の観点から、入出庫受付票は投函式のボックスに入れてもらう運用方法を推奨。日冷倉が作成した「受付票」(サンプル)では、運送会社名、ドライバー名、車型、車番、携帯電話番号のほか、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理に沿った衛生管理の実施を念頭に、ドライバーの健康状態(下痢、発熱、嘔吐、腹痛、怪我等の有無)の申告欄を設けている。

バース運用の工夫は、当該冷蔵倉庫だけで取り組める有効な対策と位置付け、それぞれの運用に合わせて「予約バース」「優先バース」「小口バース」「専用バース」の設置や弾力的な運用を提案。例えば、「小口専用バース」を設け、小口のトラックを優先することによってトータルの待機時間を大幅に削減できる。

トラック予約システム、アナログな運用も

ドライバーの積み込みやその他作業の補助として「荷捌き作業員1人を増員する」ことのコスト効果も検証。倉庫要員の残業時間削減やトータルでの人件費削減、作業の生産性向上が図られるほか、バースの回転率向上、トラック待機時間削減など冷蔵倉庫、運送会社双方にプラス効果が見込まれる。

このほか「今すぐに取り組めること」としては、①入出庫トラック受付票を活用した自社の実態把握(入出庫台数や日別入出庫量等の把握)②寄託者や運送会社との話し合い(情報共有や運用ルールの取り決め、運送会社への情報提供)③混雑しやすい特定日の解消――などが挙げられた。

また、「トラック予約システム」について、ITを活用したシステムの推奨機能を提示。「予約システムは冷蔵倉庫の業務効率化に効果があるが、ITの導入は絶対条件ではない」(馬場研介業務部長)との考えから、電話やファックスを利用して予約の仕組みを導入する「アナログな運用」のマニュアルも示した。
(2018年6月21日号)


関連記事一覧