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コマツ物流がコンテナラウンドユースを拡大

2018.06.19

コマツ物流(本社・横浜市神奈川区、高橋康社長)では、国際海上コンテナのラウンドユースを拡大する。輸入企業が使ったコンテナをコマツの輸出で継続利用することで、工場~港間で発生する空コンテナの回送を減らし、CO2削減とともにトラックドライバー不足を緩和する狙いがある。大阪工場(大阪府枚方市)ではサントリーなど複数社と実施しており、2018年度には同工場のラウンドユース比率を5割程度まで高めたい考えだ。

ドライバーの荷待ちを発生させないスケジュールに

コンテナラウンドユースに関しては昨年から本格的に取り組みを開始した。当初、コマツ社内で輸入と輸出のコンテナをマッチングすることを想定したが、輸出の比率が92%、輸入が8%と圧倒的に輸出が多く、効果が限定的であることから、輸入企業との取り組みに舵を切った。

輸出入企業のマッチングを推進する阪神国際港湾を通じて、昨年8月からサントリーとのラウンドユースを開始。同社の京都府内および滋賀県内の工場で輸入貨物をデバンニングした後のコンテナをコマツの大阪工場まで運び、輸出貨物(部品等)をバンニングし、阪神港から輸出する。

大阪工場は阪神港から50~60㎞に立地し、内陸部でも比較的港とのアクセスが良好なことから、デバンニング後のコンテナをダイレクトにコマツの工場に届けるオンシャーシ方式のスキームを採用。双方のデバンニング、バンニング作業の状況を共有し、ドライバーの荷待ちを発生させないスケジュールを組む。

サントリー以外では、コマツの大阪工場近隣に物流センターを構える白物家電のアクアのほか数社とラウンドユースを実施。17年度の同工場のラウンドユース率はコマツ社内のマッチングも含めて27%で、取り組みが本格化した第2四半期以降は30%を超えた。18年度は、48%まで引き上げる計画となっている。

構内滞留時間を可視化、輸入企業にレビュー

ドライバーの構内滞留時間の可視化にも取り組んでおり、すべてのコンテナについて、車両が工場に入場してからバンニング開始までの時間、バンニング作業時間、終了後、工場から出発するまでの時間を計測し、輸入企業にレビュー。前日に荷揃えし、コンテナ用にモジュール化されたラックに積載するため作業は約20分程度で完了する。
ラウンドユースの拡大に向け、バンニング体制も見直す。4ヵ所のレーンに1日の作業スケジュールを割り当てており、ラウンドユースコンテナは「午前中のみ」としていたが「正午過ぎ」まで時間帯枠を広げることも検討。現行、空きが多い「朝一番」の時間帯枠の有効活用も検討する。

具体的には、前日の夕方にデバンニングが終わった輸入企業のコンテナを運送会社がそのまま車庫に持ち帰り、バンニング当日の朝一番に大阪工場に持ち込むスキームを構想中。「運送会社の車庫が工場近隣にある場合、港に返すよりも早くドライバーが終業できるメリットも期待できる」と西日本物流部改善チームの田井洋平チーム長は話す。
コマツ物流では東日本物流部でもラウンドユースを昨年から本格化しており、インランドデポ(佐野インランドポート)を活用し、サントリーの群馬県内の工場でデバンニング後のコンテナをコマツの小山工場の輸出で利用。他の輸入企業とも取り組みを進め、全社的にラウンドユースを推進している。
(2018年6月19日号)


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