改正省エネ法が成立、貨物所有権ないEC荷主も対象に
改正省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律案)が6日、参院本会議で可決して成立した。多くの貨物を扱うにも関わらず現行制度では特定荷主に含まれなかったEC企業などが新たに制度対象になる。また、貨物の荷受側を「準荷主」と位置付けて省エネへの協力を求める。他方で、取り組み優良企業には負担軽減策を用意するとともに、“連携省エネ”向けに、新たに税制優遇制度も設ける。
現行の改正省エネ法では、貨物の所有者を荷主と位置付け、「年度間の貨物輸送量3000万トンキロ」を超える荷主企業を「特定荷主」と定めてきた。一方で、アマゾンジャパンなどEC事業者の中には大量の貨物を発送し、その輸送方法を決定しながらも、貨物の所有権を消費者へ移転するために特定荷主に含まれない企業もあった。今回の改正では、こうした荷主企業にも実態に合った形で省エネへの取り組みに参加するよう、特定荷主の定義を「貨物の所有権を問わず、契約等で輸送の方法を決定する者」へと改めた。なお、輸送方法を決定しないECモール事業者は対象外となる。
BtoB輸送の場面では、特定荷主の対象となっている発荷主だけの努力では手待ち時間の解消など物流全体の効率化は困難――として、荷受側による省エネへの協力にも言及。貨物の到着日時を指示できる荷受け側を「準荷主」と位置付け、省エネへの協力の努力規定を新設した。今後、ガイドラインの策定などを検討していく。
また、省エネへの取り組み優良企業に対しては「中期計画」の提出頻度を現行制度の毎年から数年に1度へと軽減する。
企業の連携による省エネ施策への評価も見直し、例えば企業間で設備を集約したことでサプライチェーン全体のCO2排出量削減に貢献する例などでは、連携による省エネ量を企業間で分配して報告できるようにする。こうした省エネ事例を規範化して周知することで、他の企業の取り組みも促す。優良な取り組みを後押しする支援制度も充実させ、認定された「連携省エネルギー計画」の実施に必要な設備投資に対する法人税を30%特別償却、7%税額控除する税制優遇を新設する。
(2018年6月14日号)