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ダイキン工業が統合配送管理システムを全国展開

2018.06.07

ダイキン工業(本社・大阪市北区、十河政則社長)では、AIやビッグデータの活用も視野に入れた「ダイキン統合配送管理システム(D‐TMS)」を全国展開した。スマートフォンで配送時間や進ちょく状況を関係者が共有し、問い合わせ工数を削減。蓄積された運行データをルートの見直しや配送先での長時間の荷下ろし待ち、持ち戻りなどの実態把握と改善に役立てる。到着時間が可視化できれば午前中に集中する配送時間指定を分散できるため、現有の輸送力の有効活用にもつながるという。

配送計画策定や配車を自動化、問い合わせ工数削減

「D‐TMS」はパスコ(本社・東京都目黒区、古川顕一社長)との共同開発で、3月からまず東日本で導入し、5月から西日本に拡大した。ダイキンの専属運送会社45社、約200台に展開済みで、現状では全体のカバー率が5割程度だが、6~7割程度まで引き上げる考え。また、共同配送促進に向け、将来的には他荷主も含めた運用を目指す。

従来、配送予定時間は配送当日にドライバーに直接問い合わせなければ分からず、ダイキンの営業部門、物流部門、ドライバー、納品先それぞれに問い合わせやその対応の負荷がかかっていた。また、営業部門からの配送時注意事項や過去発生した事故・クレーム情報も紙ベースで伝達していたため、漏れやミスも生じていた。

ダイキンの営業業務工数の2割が物流関連を占めており、物流にかかる工数削減が課題。そこで顧客、ダイキングループ、配送協力会社にとってメリットのある統合型配送支援システム構築に向け「D‐TMS」を導入。配送計画策定や配車を自動化し、当日の状況に応じてドライバー自身が変更できるよう柔軟性も持たせた。

運用にあたり、ダイキンがドライバーにGPS機能付きスマホを貸与。画面には当日の配送先と配送予定時間のほか、配送先での注意事項なども「特記事項」欄で表示される。配達前に事前電話連絡が必要な場合も、営業が入力した電話番号をタップするだけで発信でき、ドライバーは番号入力の手間を省ける。

ダイキンの営業部門は前日時点の配送予定、ドライバー情報、配送当日の予定時間と配送状況をリアルタイムに照会可能。物流部門ではGPS機能によりドライバーの位置情報も地図上で把握できる。問い合わせの工数をさらに削減するため、今年度中に、届け先がスマホやパソコンで配送状況を直接照会できる仕組みを構築する。

着時間把握で午前中指定が減り、車に余裕も

これまで配送先での長時間荷下ろし待ちが常態化していても、ドライバーから情報が上がってくるまでにタイムラグがあったが、運行データを基に営業部門と連携し、即座に改善に着手できる。また、データを蓄積した上で、AIを活用し分析することで、運行ルートの見直しや車両手配の方針策定にも役立てられる。

物流本部企画部の安藤雄裕スルー物流改革専任部長は「荷主が発注条件の変更も含めて今までのやり方を変えないと、ドライバー不足は解決しない」と指摘。「今まで営業部門は安全を見て午前帯指定配送が多く、それだけ車両を手配しなくてはならなかった。配送予定時間が分かれば、必要のない午前帯指定が減り、車に余裕が出る」と話す。
なお、GPS機能でドライバーが配送センターに戻る予定時間も分かるため、事前に翌日の荷揃えを完了させ、ドライバーのアイドルタイムをなくす取り組みも考えられる。今後は基本機能からさらに拡張し、営業部門を通じて行っている「配送満足度調査」をよりタイムリーに電子的に実施し、CS向上に役立てることも検討する。
(2018年6月7日号)


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