三菱ケミカル物流がISOタンクコンテナ事業に本格参入
三菱ケミカル物流(本社・東京都港区、福田信夫社長)は4月1日に三菱ケミカルの物流機能子会社と経営統合し、各種経営資源とノウハウの融合によりグループの物流シナジーをさらに高めていく。今年度は、秋に首都圏物流センター(埼玉県加須市)で危険物倉庫など3棟が竣工するとともに、合弁会社を通じてISOタンクコンテナ関連事業に本格参入する。ストレージタンク事業の拡大も検討中で、事業基盤と競争力の強化に取り組む。
2018年3月期は親会社の三菱ケミカルの好調も背景に、売上高は当初計画を上回る900億円超を見込む。4月1日付で旧三菱樹脂の物流機能子会社であった菱和ロジテムと合併。同時に、同社の物流実務子会社である長浜運輸も三菱ケミカル物流の子会社である菱化ロジテックと合併した。
これに伴い、1日付の組織改正では「統合推進室」を設置。旧菱和ロジテムは滋賀県長浜市の拠点を中心に全国にストックポイント(SP)を配置しており、合併両社の拠点および輸送力の相互活用を通じて、トラックの効率運用を目指す。本州の中央に位置する長浜の立地特性を活かし、中継輸送の可能性も検討する。
また、三菱ケミカルと日本化成が4月1日付で合併したのに伴い、日本化成の子会社である日化運輸および小名浜海陸運送の株式が三菱ケミカル物流に移管され、北関東、東北で事業基盤が拡充された。今後は物流機能会社を持たないスキームで物流を管理・運営していた旧三菱レイヨンの物流も含めたシナジーを追求していく。
国内物流事業基盤の拡充では、首都圏物流センターで危険物倉庫2棟(1棟は定温)、4階建て普通品倉庫1棟が秋に完成。首都圏内陸部で旺盛な危険物の保管需要を取り込む。路線会社の危険物・化学品の引き受け制限の動向も踏まえ、危険物を含む中ロット貨物をターゲットにした混載便サービスも拡充していく。
昨年7月に日本トランスシティとの合弁で設立した四日市ケミカルステーションでは、ISOタンクコンテナやIBC(中容量容器)で輸出入される液体化学品を中心に、その輸出入手続き、保管、荷姿変更、加温、容器洗浄といった一連の作業を「ケミカルワークステーション事業」として位置づけ、まずは一部の作業に関して秋頃スタートさせる。
中国およびASEANを中心としたグローバル展開では、昨年9月にベトナムで現地法人を設立。三菱ケミカルグループのベースカーゴを核に、今後本格展開が予想される日系化学メーカーを主なターゲットに、管理コンサルティングに加え、フォワーディング、包装材の現地調達にかかわる業務も手掛けていく方針だ。
(2018年4月19日号)