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【ネット通販】日本郵便が越境EC税対応のUGX便開始

2017.10.17

日本郵便(本社・東京都千代田区、横山邦男社長)は16日から、国際宅配サービス「ゆうグローバルエクスプレス(UGX)」で中国の越境EC総合税を利用した同国向け配送サービスを開始する。サービス開始に当たっては、中国上海市に本社を置く宅配会社・申通快 の日本法人・申通エクスプレスジャパン(STO、東京都中央区、薛立功社長)と提携し、同社による中国越境EC総合税通関と中国国内配送網を活用する。

新配送サービスは、「Tmallグローバル (天猫国際)」や「JD.com(京東商城)」といった中国ECモールなどへ出店する法人・個人による「越境EC」で利用できる。中国の購入者から注文を受け、日本から商品を発送する手段として用意した。

越境ECの発送ではEMS(国際スピード郵便)もあるが、新サービスではEMSが対象となる中国行郵税よりも関税率の低い越境EC総合税を適用することで輸出コストを削減。さらに、越境EC総合税の利用には事前の情報登録が必要であるため、EMSのように中国側の税関で止められるリスクも抑制できる。

一方で、越境EC総合税の利用時には品目などの情報を事前に税関システムへ登録する必要がある上、受注後も注文や支払い、宅配といった情報を登録しなくてはならない。今回の新サービスでは、こうした業務を日本郵便とSTO側が請け負うことで、出店者の業務負担を軽減する。

輸送のスキームには「直送モデル」を採用。日本から発送された商品は、日本郵便が提携するレントングループの国際航空輸送で、STOが中国・広州に構える保税倉庫へ搬入し、輸入通関の上、申通快 の配送ネットワークで購入者へ宅配される。中国側の保税倉庫で在庫保管する「保税蔵置モデル」は現在のところ対応しないが、将来的にはサービス化を図る。

利用料金は相対での交渉となるが、仮に500gの商品を発送する場合、従来のUGX便の定価4600円に対し、新サービスは700円程度になるという。なお、同条件でEMSだと1400円程度。「通常のUGX便と異なりBtoBtoCに近いモデルであることから価格を抑えることができた」(久田雅嗣・国際事業部国際物流戦略室担当部長)という。

日本から中国への越境ECではこれまでEMSが利用されることが多かったが、昨年6月の値上げに加えて、関税率の低い越境EC関税が設定されたこと、さらには中国側の税関チェックが厳しくなったためEMSが返送されるケースも出てきたことで利用が離れ、16年度は利用が大きく落ち込んでいた。こうしたことから、越境EC総合税を利用したサービスをラインナップに加え、来月11日の中国「独身の日」の越境ECニーズに備える考えだ。
(2017年10月17日号)


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