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商船三井G、新会社「商船三井さんふらわあ」始動

2023.10.03

商船三井グループの商船三井フェリーとフェリーさんふらわあは9月28日、両社の経営統合によって発足する新会社「商船三井さんふらわあ」の事業について記者会見を行った。2社統合により経営基盤を強化することで、「2024年問題」によって増大するモーダルシフト需要の受け皿としての役割を担っていく。

1日付で発足した商船三井さんふらわあは、国内6航路と船舶15隻(フェリー10隻、RORO船5隻)を抱え、2022年度における2社合計のトラック航送台数は業界全体の27%に達するなど、国内最大のフェリー・内航RORO船運航会社となる。当日は新会社の代表取締役社長に就任する牛奥博俊氏や、取締役会長に就任する尾本直俊氏、取締役副会長に就任する赤坂光次郎氏、商船三井のウェルビーイングライフ営業本部長に就任する向井恒道氏が出席し、今後の展望や事業計画などを公表した。

牛奥氏は経営統合の目的について「トラックドライバー不足が懸念される『2024年問題』により、モーダルシフトの潮流が生まれ、物流業界に変革が起きつつある。また、脱炭素社会に向けた取り組みの強化も重要だ」と外部環境の変化を指摘したうえで、「船舶の技術革新や代替燃料の研究など、これまでには見られなかった領域への事業投資や対応力が求められている。2社統合による経営基盤の強化を図ることで、激化する競争を勝ち抜いていく」と説明した。

LNGフェリー4隻投入で脱炭素経営を強化

会見では「2024年問題」への対応にも言及。輸送キャパシティを増強した新造船の投入や物流サービスの拡充により、増大が見込まれるモーダルシフト需要の取り込みを図る。また、業界屈指の保有数となる約1400台のシャーシを活用した海陸一貫輸送サービスの提供にも力を入れる。尾本氏は、「いまのところモーダルシフトが期待以上に進んでいる実感はない」と振り返りつつも「新造船の投入時には貨物スペースを大きく確保するなどの対応を進めており、今後の受け入れ体制は万全の状態にある」と自信を見せた。

このほか、新会社では国内初となるLNG(液化天然ガス)燃料フェリーを4隻運用することで、脱炭素経営にも注力する。すでに大阪~別府航路で「さんふらわあくれない」と「さんふらわあむらさき」の2隻が就航しており、25年には苫小牧~大洗航路でも2隻を投入する予定。加えて、時期は未定ながらRORO船とフェリーを2隻ずつ、LNG対応の船舶としてリプレースする計画にある。

また、経営方針としてウェルビーイングの向上を掲げた。牛奥氏は「従業員が家族や友人に自慢できる会社にしていきたい。事業規模や経営の健全性、役職員の幸福度において世界から注目されるよう、高品質な物流サービスを提供する会社を目指す」と強調。経営方針における3つのキーワードとして、安全面やサービス面での抽象的な表現をわかりやすく社員やステークホルダーに伝える「可視化」、協業などを視野に入れて積極的に外部サービスの活用するほか専門家の意見を取り入れていく「コラボレーション」、迅速な意思決定と柔軟な方向転換を重視する「スピード感」を挙げた。牛奥氏は「商船三井グループの総合力を活用しながらも自律的な組織運営を行うことで企業価値の拡大を目指す。グループの中核企業として、ステークホルダーの期待に応えていく」と意欲を示した。
(2023年10月3日号)


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