時間外労働、年960時間超が3割弱=全ト協調査
全日本トラック協会(坂本克己会長)がこのほど公表した「第4回働き方改革モニタリング調査」の結果、時間外労働時間(法定休日労働を含まない)が年960時間を超えるドライバーが3割弱いることがわかった。全ト協では2018年3月に「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン」を策定し、24年度にドライバーの時間外労働時間が年960時間超となるトラック運送事業者の割合をゼロにする目標を掲げているが、実現には働き方改革のさらなる加速が必要だ。
有休5日未満のドライバー、「いない」が8割超
24年4月から、ドライバーの時間外労働上限規制が適用され、月80時間、年960時間が時間外労働の上限となる。「アクションプラン」では、時間外労働年960時間超のトラック運転者が発生する事業者の割合について、22年3月末までに25%、23年3月末までに20%、24年3月末までに10%、24年4月1日以降は0%とする目標を立て、進捗をモニタリングしている。
22年1月に第4回目となるモニタリング調査を実施し、21年10月時点の状況について回答を得た。集計対象数は727事業者(集計率61・0%)。回答事業者の規模は、「20両以下」が30・9%、「21~100両以下」が51・9%、「101両以上」が17・2%だった。
現在、時間外労働時間が年960時間を超えるドライバーがいるかを尋ねたところ、「いる」の比率は27・1%で前回調査(28・0%)よりもわずかに減少したものの、依然として約3割だった。一般労働者については、時間外労働時間が年720時間(一般則)を超える者が「いる」の比率は13・8%で前回調査(14・1%)よりも減少した。
月60時間超の時間外労働に対する時間外割増賃金率引き上げの準備については、「既に60時間超の残業に割増賃金率50%を適用している」は8・0%。この内訳は「大企業であり既に適用」が4・1%、「中小企業だが既に適用」が3・9%となっている。中小企業にも適用される23年4月に向け、「23年4月までに割増賃金率50%に対応できるよう、対策を検討している」は53・4%と5割を超えた。「まだ対策等の準備は行っていない」は18・8%で、前回(24・0%)から減った。
年次有給休暇付与日数が10日以上となるドライバーについて、年休を5日以上取得させているかについて、「年休取得日数が5日に満たない労働者はいない」は82・4%と8割を超えた。一般労働者についても、年休を5日以上取得させているかを尋ねたところ、「年休取得日数が5日に満たない労働者はいない」は84・9%に増加した。
(2022年5月24日号)