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【グローバル物流】鴻池運輸が米国で新冷凍冷蔵倉庫を9月稼働

2017.07.25

鴻池運輸(本社・大阪市中央区、鴻池忠彦社長)では、米国で定温物流事業を拡充する。グループのKONOIKE-GENERAL INC.(KGI)がカリフォルニア州サウスゲート市で建設を進めていた冷凍冷蔵倉庫がまもなく竣工し、現拠点の貨物を移管し、9月から本格稼働予定。米国ではロサンゼルス市ロングビーチ港のオーバーウエイトエリア内でKONOIKE-PACIFIC CALIFORNIA,INC.(KPC=KPAC)、KONOIKE-E ST-REET, INC.(KES)が冷凍冷蔵倉庫を運営しており、ロサンゼルス近郊のグループの冷凍冷蔵倉庫群はエリア屈指の規模で6割のシェアを持つ。KPACグループの3拠点は肉関連の取り扱いが多く、人口増加や経済成長による国内消費の伸び、さらにはトランプ政権下での米国産牛肉・豚肉の輸出拡大への機運を背景に、旺盛な保管需要を取り込めそうだ。

省電力・節水型の新冷凍システム採用

今回、新たな冷凍冷蔵倉庫を開設するKGIはKPCの100%出資子会社で07年の設立。従来はベルガーデン市の施設を賃借して運営してきたが、自社保有の冷凍冷蔵倉庫を計画し、16年7月に建設を開始した。8月の竣工を控え、7月7日には辻卓史会長、鴻池社長らの出席のもと記念式典および内覧会を開催した。

新倉庫は敷地面積1万7000平米、延床面積7700平米。既存倉庫より保管効率を高め、収容能力は約1万3000パレット。庫内は5室(冷凍・冷蔵温度帯可変)に分割され、ドックシェルターは11基を備える。国内向けを主体に冷凍庫では肉、濃縮還元果汁、冷蔵庫では果物、濃縮還元果汁、乳製品などを扱う。

また、省電力・節水型の新型冷凍システムを屋上に設置し、天井から冷気を庫内に循環させることで冷却効率を高め、アンモニア使用量を先偏するなど環境面にも配慮している。今回の新拠点開設を機に周辺に立地する潜在顧客への拡販を図るとともに、KPC、KESとも連携しながら定温物流事業でのシェア拡大を目指す。

オーバーウエイトエリア内には2拠点

鴻池運輸では1985年にフォワーディング会社をロサンゼルスに設立し、米国に本格進出。94年4月に設立したKPCでは、ロサンゼルス・ウィルミントン地区に7万2800平米の用地を購入し、同年12月にカリフォルニア最大規模となる延床面積約2万平米の冷凍冷蔵倉庫を竣工した。
敷地面積約7万2000平米は東京ドーム約1・5個分。ロサンゼルス、ロングビーチ両港から約8㎞、過積載コンテナ輸送が認められるオーバーウエイトエリア内に立地。敷地内に鉄道の側線を有し、貨車もしくはトラックから海上コンテナへの積み替え(トランスロード)業務や、米国農務省検査官による食肉の輸出入検査にも対応できる。

現地冷凍冷蔵倉庫の買収により07年にKGI、11年にKESを設立し、定温物流事業の基盤を広げてきた。今後、KPACグループでフォワーディングや大型重量物一貫輸送・据付作業を行うKONOIKE TRANSPORT & ENGINEERING(USA), INC.(KTE)およびアジア地域の定温物流ネットワークとの連携を強化していく。

なお、鴻池運輸では米国を皮切りに、中国・青島、ベトナム、タイ等に定温物流事業を展開しており、現状では各エリア単位のサービスを手掛けているが、米国進出当初に描いた「環太平洋物流ネットワーク構想」を念頭にグローバルな定温物流網を活かした拠点間の連携も模索する。

(2017年7月25日号)


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