JPRが創業50年、記念セミナーを開催
日本パレットレンタル(JPR、本社・東京都千代田区、加納尚美社長)は1日、会社設立50年を記念したセミナー「JPRセミナー2021」をオンラインで開催した。当日は、加納社長が同社50年間の歩みを振り返るとともに、2030年に向けた事業ビジョンを提示。〝オープンシェアリング〟をキーワードに掲げ、「レンタルパレット事業で培った事業基盤をもとに、外部のシステムと連携していく〝外にひらき、つながりあう〟企業を目指していく」と語った。
加納社長はセミナーの冒頭で挨拶し「JPRはちょうど50年前のこの日に事業をスタートし、現在は3500社以上の取引先を持つまでに成長した」と述べ、取引先企業などに改めて感謝の意を表明。プレゼンテーションでは、レンタルパレット事業の開始から、共同回収の取り組み、パレット伝票電子化など同社がたどってきた成長の軌跡を紹介した。その中で、「レンタルパレット事業は元々〝所有からシェアへ〟が基本であり、オープンシェアリングへの親和性が高い。今後はパレット以外のビジネスについてもシェアリングを進めていく」との方向性を示した。また、レンタルパレットの環境優位性にも触れ、「レンタルパレットを使うことで、自社でパレットを保有し個々に回収するよりもCO2排出量が76%削減できる」ことを強調した。
オープンシェアリングに向けた新たな事業のひとつとして、10月から開始した共同輸送マッチングサービス「TranOpt(トランオプト)」を紹介。「AIによって業界を跨いだ荷主企業同士をマッチングするサービスで、JPRも荷主として参加している。パレット回収は基本的なモノの流れとは逆向きの場合が多いので、マッチングの幅が広がる」と述べ、シェアリングを通じて物流業界の共通課題である実車率・積載率の改善やCO2排出削減に貢献していくとした。
セミナーでは、野村総合研究所の藤野直明主席研究員が「総合物流施策大綱とフィジカルインターネット」をテーマに基調講演。藤野氏は、今年6月に閣議決定した新大綱で物流DXが大きな柱になっていると指摘。フィジカルインターネットは「究極のオープン型の共同物流機構だ」と定義した上で、「将来的には、BtoB、BtoC、CtoCすべての物流がDXによって統合される」との見解を示したほか、「フィジカルインターネットを実現するためには、モジュラー容器を統一していく必要がある。海上コンテナの世界ではすでに実現されている」と説明した。
また、ライオンの平岡真一郎執行役員SCM本部長が「化粧品・日用品業界の物流最適化を目指して」をテーマに講演。平岡氏は日用品業界における物流共同化の歩みを紹介しながら、共同物流2・0(第2世代)ではSDGsや物流クライシスを乗り切れないと強調。
現在、プラネットの「ロジスティクスEDI」やASNデータ活用の高度化などを通じて第3世代となる「共同配送3・0/業界協調配送」への取り組みを進めているとして、「より広範な共同化を実現することで、コストやエネルギー、労働負荷をミニマムにしていきたい」と展望を語った。
(2021年12月7日号)