【医療品・検体】KONOIKEグループが国際検体輸送を今秋から本格化
KONOIKEグループは今秋をメドに、国際臨床検査事業などを手掛けるJ‐VPD(本社・東京都新宿区、山田哲児社長)と連携した生命検体の国際輸送サービスを本格展開する。KONOIKEグループが輸送に係る物流面を担当し、J‐VPDが検査事業の営業窓口などを担う。まずはインドから血液検体を航空便で日本国内の検査施設へ定温スピード輸送し、将来的には発地国の拡大も検討。さらに、国際検体輸送事業を拡大することで、検体の国内輸送においても高品質かつ効率的な輸送スキームの確立につなげたい思いもある。
本格稼働に先駆け、今年5月からインド・デリーの医療機関で採血した血液検体を日本の検査機関へ輸送する事業を試験的に開始。午後13時に採血を終えた血液検体を当日中に税関処理を済ませ、翌日13時に成田空港へ到着する航空便に搭載し、日本の検査機関には同17時に届けられる、リードタイム29時間(時差分含め32時間)のスキームを構築した。同時間内であれば高度な検査も対応が可能。1日に10検体を輸送してきたが、スキームが安定化してきたことを受け、本格稼働に着手する。「1日に何千検体を扱う話も既に寄せられている」とJ‐VPDの山田社長は話す。
J‐VPDでは同様の輸送業務を複数の航空フォワーダーらへ相談したが「最速でも翌日発送の計48時間以上掛かっており、検査に耐えられる輸送時間を超えていた」(同)。しかし、KONOIKEグループでは現地物流会社と連携し、航空便への当日搭載を実現。検体採取と輸送の情報を受けた段階で航空便の船腹予約とインボイスの作成、税関手続きを進め、スピーディーな航空輸送を可能にした。輸送にはJ‐VPDが開発した定温管理とログ取得が可能な専用ボックスを利用し、品質を保持したまま輸送する。
医療業界では、日本における検査種類は約1万種に上るが、インド国内で実施できる検査は約500種に留まっているという。日本への検体輸出が可能になれば、インドでのより詳細な検査が可能となり、診断の正確性が増すことで患者の身体負担軽減や適格な医療行為による国全体の医療費削減にも貢献できる。日本の検査技術は国際的にも高く、インド近隣国やロシアなどでも同様のニーズがあり「インド以外の国からの検体輸送にも対応したい」と鴻池運輸メディカル事業本部の天野実・執行役員本部長は展望する。
KONOIKEグループでは日本空輸などが2年程前から定温管理およびログ取得に対応した専用容器を用いて日本国内の検体・高度治療品専門輸送サービスを開始。再生医療細胞や治験検体などを輸送してきたが、一方で検体数そのものが少ないこともあり、現在はほぼハンドキャリーに近い状態で運ばれている。今回の国際検体輸送の物量が増えれば、日本国内において専用車両などに検体を積み合わせた輸送サービスなども可能となり、高品質かつ高効率に検体を輸送することが出来るようになる。また、インド国内における最適輸送管理の仕組みも来年をメドに構築しているという。
(2017年7月18日号)