〝運賃交渉に応じない〟荷主は2%=近ト協調査
近畿トラック協会(中川才助会長)はこのほど、近畿2府4県(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)の荷主企業を対象に実施した「標準的な運賃」に関するアンケート調査結果を発表した。標準的な運賃の告示について「知らない」と回答した荷主は4割にのぼるなど周知がまだ十分でないものの、事業者からの運賃交渉に「応じない」との回答は2%に過ぎず、荷主の大半が一定の理解を示していることもわかった。
アンケートによると、標準的な運賃の告示について「知っている」荷主は59%、「知らない」荷主は41%。内容については「把握している」が51%、「把握していない」が49%となり、制度の存在を知っていても内容を理解していない荷主も多かった。一方で事業者から運賃交渉について「応じる」が31%、「検討する」が67%となり、「応じない」はわずか2%。荷主のほとんどが交渉に対して開かれた態度を示していた。
その反面、事業者から「運賃交渉があった」と答えた荷主は19%で、「ない」が80%、「未回答」が1%となっていた。実際に交渉を持ちかけられた荷主は2割に過ぎず、事業者側の運賃改定に向けて〝弱腰〟の姿勢も見られる。運賃の金額について「高い」と答えた荷主は28%、「妥当な額」が30%、「わからない」が42%となっており、運賃の高低について荷主の4割が客観的な判断基準を持ち合わせていないこともうかがえた。
同アンケートは近ト協が2府4件の荷主約7000社に対して3月に実施し、約700社から回答を得ていた。8月17日に国土交通省近畿運輸局・大阪運輸支局と厚生労働省大阪労働局が合同で開催した「トラック輸送における取引環境・労働時間改善大阪府地方協議会」で結果が公開され、参加委員からは「標準的な運賃を合理的判断のためのツールとして使い、事業者は前向きに運賃交渉を進めるべき」との意見があった。
(2021年9月2日号)