HACCP義務化、改正食衛法が完全施行
改正食品衛生法が1日、周知や経過措置期間の終了により、完全施行され、原則全ての食品等事業者はHACCPに沿った衛生管理に取り組むことが義務化された。冷蔵倉庫については、従来、食衛法の営業許可業種だったが、改正法では届出業種に移行。食品を扱う常温倉庫や輸送については届出対象からも除外されている。
改正食衛法ではHACCPに沿った衛生管理を制度化し、原則として、すべての食品など事業者に、一般衛生管理に加えHACCPに沿った衛生管理の実施を求める。ただし、規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。
また、実態に応じた営業許可業種へ見直しを行い、営業許可の対象を政令が定める34業種から32業種へ再編。冷蔵倉庫が該当する「食品の冷凍又は冷蔵業」は、改正法では「冷凍食品製造業」と「冷凍・冷蔵倉庫業」に再編され、「冷凍・冷蔵倉庫業」は新たに創設された届出制度における届出業種に変更された。
今回の改正では、規模や業種によっては「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」も認められており、日本冷蔵倉庫協会では「『食品衛生法改正に伴う衛生管理計画書』作成の手引き(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書)」を作成。HACCP7原則に基づいて実施することが困難な中小事業者でも運用可能な手引きを整備した。
なお、本来、コールドチェーンに関わる全てのチェーンで「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行うことが望ましいが、トラック輸送については、荷主からの要望・指示を踏まえて衛生管理を行い、梱包された食品を取り扱うため、輸送時に必要な衛生管理は基本的に温度管理のみであることから、業界としての手引きは整備されていない。
(2021年6月8日号)